ウォーリア (装甲艦)

HMSウォーリア (HMS Warrior)

HMSウォーリアは1860年に進水し1861年に竣工した、イギリス海軍最初の鉄製装甲艦です。この艦は、フランスの装甲艦ラ・グロワールに対抗して建造され、当時の海軍技術を結集した象徴的な艦船となりました。ウォーリアは当時世界最大であり、装備された武装、重装甲を持ち、速度においても優れた性能を誇りました。

概要

1861年8月に就役したウォーリアは、進水当時、その大きさと性能から世界一の装甲艦として君臨しました。フランスが建造したラ・グロワールをはるかに上回るサイズと装備を持ち、革新的な推進システムや砲装備を搭載していました。ウォーリアの設計には、新型蒸気機関やライフル付き後装砲、鉄製船殻が採用され、これらが初めて一つの艦に統合されたのです。この艦の登場は、敵艦間での装甲と火力の競争を引き起こし、この流れは第二次世界大戦にかけて続くことになります。

設計と建造

ウォーリアの建造は、1858年にフランスの新型艦の設計情報がイギリスに渡った結果始まりました。当初、英仏間の発展は友好的でしたが、フランスの装甲艦に対抗する必要性が迫り、イギリス海軍は自国の新型艦の設計に着手しました。海軍本部は1858年の11月に、ラ・グロワールに匹敵する木造艦の設計を打ち出すものの、木材資源の不足や性能向上の難しさから、最終的には鉄製船殻の採用に至りました。

参考の海軍官僚たちの助言のもと、ウォーリアは新しい設計基準に沿って建造が進められ、1860年12月に進水、1861年に竣工を迎えました。建造にかかった費用は357,291ポンドであり、これは当時の相場で見ると大規模なものでした。

運用歴

ウォーリアは実戦に参加することなくその任務を終えましたが、就役時には世界最強の艦船と評されました。その後海軍の技術進化の影響を受け、1869年には特別な乾ドックに曳航される任務に従事。ウォーリアは最終的に1883年に退役、武装やマストを取り外されました。その後は浮き倉庫や倉庫船として使用され、1904年以降は「ヴァーノンIII」と名付けられて機能した後、1924年に売却されることになりました。

老朽化と救済

売却時、ウォーリアは廃棄される運命にあったが、第一次世界大戦後の鋼鉄需要の低下により、商業的な価値が失われることはありませんでした。一時的に燃料庫としての役割を担いつつも、歴史的価値から廃棄の危機を迎えたウォーリアは、1968年にエディンバラ公によって救済のための会議が開催され、海事トラストの設立につながります。

1979年、ウォーリアの復元作業が始まりました。800万ポンドの資金をかけて行われた復元作業は8年にわたり、多くの要素が再現されました。1987年にはほぼ完全に復元され、現在はポーツマスに位置する博物館船として多くの観光客を魅了しています。

ウォーリアは、イギリス海軍における重要な歴史的艦船であり、鉄製装甲艦の先駆けとしての地位を確立しています。その独自の存在は現在も多くの人々に愛され、海事の歴史を語る上で欠かせない存在です。

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