ウクライナ国立美術館

ウクライナ国立美術館

ウクライナ国立美術館は、ウクライナの首都キーウにある、ウクライナ美術を専門とする重要な美術館です。その歴史は19世紀末に遡り、キエフ市立古代博物館として開館しました。その後、幾度かの改名や組織再編を経て、現在の国立美術館となりました。

歴史

1899年8月1日、キエフ市立古代博物館として産声を上げたこの美術館は、1919年に州立美術館へと改称されました。さらに1924年には、全ウクライナ歴史博物館の一部となり、その歴史は博物館のコレクションの変遷と共に語られます。1936年、コレクションは歴史部門と美術部門に分割され、後者が現在のウクライナ国立美術館の基礎となりました。第二次世界大戦での被害を経て、1953年に現在の名称となりました。

ウクライナ独立後、美術館は国際的な舞台でその存在感を増し、コレクションは海外でも展示されるようになりました。オランダ、カナダ、フランス、デンマーク、クロアチア、日本など、世界各地でウクライナ美術の魅力を伝えてきました。

コレクションの特徴

美術館のコレクションは、中世のイコンからコサック時代の軍や教会の指導者の肖像画、そしてコサック・ママーイのユニークな絵画まで、多岐にわたります。著名な芸術家の作品も多数所蔵しており、タラス・シェフチェンコ、イリヤ・レーピン、ウラジーミル・ボロビコフスキー、ヴァシーリー・アンドレーエヴィッチ・トロピニン、ムィコーラ・ピモネンコ、ミハイル・ヴルーベリ、ニコライ・ゲー、セルゲイ・スヴェトスラーフスキー、オレクサンドル・ムラシュコなど、ウクライナ美術史を彩る巨匠たちの作品を鑑賞することができます。

本館の建築

現在の美術館の建物は、1898年に建築家ヴワディスワフ・ホロデッキーによって、キエフ市立博物館のために建設されました。この建物は、当初モスクワの建築家ペトル・ボイツォフが設計したものの、政府の認可を得られなかったため、ホロデッキーが設計を焼き直したものです。新古典主義建築の代表的な例であり、ドーリア式の柱とエンタブラチュアが特徴的な外観を持っています。階段の頂上には、グリフォンとライオンの像が置かれ、建物の壮麗さを際立たせています。これらの彫刻は、イタリアの彫刻家エミリオ・サラによって制作されました。

建設費は24万9千ルーブルで、そのうち10万ルーブルはロシア帝国政府が、残りの10万8千ルーブルは、キーウに西洋東洋美術館を創設したテレシェンコ家が負担しました。開館当初は、1階にボヘミア出身のロシア人考古学者ヴィケンティ・フヴォイカのコレクションが展示されていました。1904年12月23日、ニコライ2世皇帝の訪問を受け、キエフ工業芸術科学博物館として正式に開館しました。初代館長はミコラ・ビリアシフスキーが務めました。

現在の収蔵作品

現在、美術館はコレクションを拡大し続けており、キーウ出身の国際的な先駆者であるカジミール・マレーヴィチによる聖ゲオルギオスのイコンのレリーフなどの新しい作品も加わっています。

所蔵作品は2万点を超え、その中にはロシア構成主義のワシル・エルミロフやロシア未来派のアレクサンダー・ボゴマゾフの作品も含まれています。ウクライナ側のアーティストとしては、ダヴィド・ブルリューク、アレクサンドラ・エクステル、ヴァディム・メラー、クリメント・レッドコ、ソロモン・ニクリティン、ヴィクトール・パリモフ、ミハイロ・ボイチュク、ムィコーラ・プィモネンコ、イリヤ・シュティルマンなどが挙げられます。さらに、ヤヌコビッチ前大統領の自宅から回収された美術品も、美術館で展示されています。20世紀末から21世紀初頭の現代美術のコレクションも充実しており、常に新たな作品が追加されています。

まとめ

ウクライナ国立美術館は、ウクライナ美術の歴史と多様性を物語る重要な場所です。そのコレクションは、ウクライナ文化の奥深さを伝えるだけでなく、国際的な芸術交流の架け橋となっています。訪れる人々は、過去から現代までのウクライナ美術の変遷をたどり、その豊かな創造性に触れることができるでしょう。

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