ウスバキチョウ

ウスバキチョウ（薄羽黄蝶）

ウスバキチョウ（学名：Parnassius eversmanni）は、アゲハ[[チョウ科]]ウスバアゲハ亜科に分類されるチョウの一種で、その名の通り、薄く黄色い翅を持つのが特徴です。別名キイロウスバアゲハとも呼ばれます。

日本では亜種（Parnassius eversmanni daisetsuzanus）が、北海道の大雪山系や十勝岳連峰といった高山帯にのみ分布しており、国の天然記念物として保護されています。

形態

翅は薄く、半透明にも見える黄色をしており、これがウスバキチョウの名前の由来となっています。後翅には鮮やかな赤い紋があり、ウスバシロチョウ属の中では、この赤い紋を持つのは本種のみです。また、胴体は体毛で覆われています。

雌は雄に比べてやや大きく、翅の黄色味は薄く、黒色部分が発達しています。交尾後の雌は腹部に受胎嚢を持つため、容易に雌雄の区別が可能です。

特徴

アゲハ[[チョウ科]]の中では比較的原始的なグループに属しており、局地的な分布と個体数の減少により、絶滅が危惧されています。日本では、幼虫の食草が同じく天然記念物であるコマクサであるため、両者の個体数を維持することが保護における課題となっています。

生活環

ウスバキチョウは、卵の状態で約11ヶ月、蛹の状態で約10ヶ月と、合計2回も越冬します。幼虫期間は3ヶ月ほどで、成虫になるまでには2年を要します。成虫は6月から7月にかけて活動し、コマクサに産卵します。寒冷な環境に適応するため、卵と蛹で越冬するという特殊な生活環を持っています。

分布

日本では、北海道の大雪山系と十勝岳連峰の標高1,700m以上の高山帯のみに分布しています。海外では、北米大陸北部（アラスカなど）、ロシア沿海州、中国東北部、朝鮮半島北部といった寒冷な地域に分布しています。

近縁種

日本には、ウスバシロチョウ属の近縁種として、ウスバシロチョウが本州、四国、北海道南部に分布しています。また、北海道にはヒメウスバシロチョウも広く分布しています。ウスバキチョウとウスバシロチョウは、外見が似ていますが、ウスバキチョウは後翅の赤い紋が特徴です。

発見

ウスバキチョウは、1926年7月に北大農学部昆虫学教室の学生、河野廣道によって大雪山で発見され、その標本は松村松年教授に託されました。その後、新亜種として学術誌に記載されました。

種の保全状態評価

ウスバキチョウは、生息地が限定されており、食草も限られているため、環境省のレッドリストでは「準絶滅危惧」に指定されています。日本では、1965年に天然記念物に指定され、2000年には北海道のレッドデータブックに登録、2004年には指定希少野生動植物にも指定されています。

参考文献

北海道大学総合博物館（編者）、2020、『北大総合博物館のすごい標本』、北海道新聞社

関連項目

アサヒヒョウモン
* ダイセツタカネヒカゲ

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