ウズベキスタンの交通

ウズベキスタンの交通事情：ソ連崩壊からの発展と課題

ウズベキスタンは、ソビエト連邦からの独立後、長らく交通インフラ整備の遅れに悩まされてきました。投資不足や老朽化により、鉄道や道路、空港などの質は低下し、国民生活や経済活動に大きな支障をきたしていました。しかし、2000年代以降、政府による積極的な投資や、国際機関からの援助、海外からの直接投資が流れ込み、状況は徐々に改善されつつあります。

鉄道

ウズベキスタンの国営企業であるウズベキスタン鉄道が、国内の鉄道網を運営しています。2018年時点での総延長は約4,642キロメートルに及びますが、電化区間はまだ全体の52％にとどまっており、近代化の遅れが課題となっています。

主要路線はカスピ海横断鉄道の一部を構成し、首都タシュケントとアムダリア川沿いの都市を繋いでいます。近年では、他国への迂回を必要としない、自国領内のみを走行する路線網の整備に力を入れています。具体的には、2001年と2009年に新たな鉄道路線が完成し、トルクメニスタン領を通過する必要がなくなりました。さらに、2016年には中国からの支援により、タジキスタンを経由するルートに代わる新たな路線が完成。これにより、ウズベキスタン独自の鉄道ネットワークが確立されました。

2011年にはタシュケントとサマルカンドを結ぶ高速鉄道「アフラシャブ号」が開通、輸送時間の短縮と利便性の向上に貢献しています。

ウズベキスタンは、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタン、アフガニスタンと国境を接しており、これらの国々とは鉄道で繋がっています。さらに、カザフスタンを経由することで、ロシアの主要都市であるモスクワやサンクトペテルブルクへも鉄道でアクセス可能です。鉄道はウズベキスタンにおいて主要な貨物輸送手段であり、国内の貨物輸送量の約90％を担っています。

中国、キルギス、ウズベキスタンを結ぶ鉄道構想は、1990年代からありましたが、標高が高く建設が困難な山岳地帯を通る必要があり、実現には長い時間を要しています。2022年9月時点で、キルギス国内の路線は2023年中の完成を目指すと発表されています。

また、タシュケント地下鉄は、カザフスタンのアルマトイ地下鉄が開通するまで、中央アジア唯一の地下鉄でした。一方、1912年に開業したタシュケント市電は中央アジア最古の路面電車網でしたが、2016年に廃止されています。

道路

2005年時点では、ウズベキスタンには総延長約84,400キロメートルの道路があり、そのうち約72,000キロメートルが舗装されています。道路は、ソ連時代からの分類である国際主要道路（M、A）、国道（R）、地方道（K、H）に分類され、その整備状況は大きく異なります。国際主要道路は比較的良好な舗装状態を保っていることが多いものの、地方道では未舗装区間が多く残されています。フェルガナ州、ナマンガン州、アンディジャン州、ナヴォイ州などでは、比較的整備が進んでいる地域も見られます。

主要幹線道路としては、タシュケントと周辺諸国を結ぶM34、サマルカンドとトルクメニスタンを結ぶM37、カザフスタンからアフガニスタンに至るM39などがあり、近年ではこれらの道路の改良やバイパスの建設が積極的に進められています。

高速道路網については、2006年時点では整備計画がありませんでした。しかし、アフガニスタン支援のための道路整備などが行われた事例もあります。ウズベキスタンはアジアハイウェイ参加国であり、いくつかの主要道路はアジアハイウェイの一部として機能しています。

港湾と水運

二重内陸国であるウズベキスタンには、海洋に面した港湾はありません。アムダリア川沿いのテルメズには河川港が存在しますが、規模は小さく近代的な設備は不足しています。しかし、隣国アフガニスタンの情勢安定化に伴い、貿易量は増加傾向にあります。また、アフガニスタンへの人道支援物資輸送においても重要な役割を果たしています。ウズベキスタンには約1,100キロメートルの内陸水路網がありますが、アムダリア川の水量減少により、観光ツアーなどは減少傾向にあります。

航空

2006年時点では、ウズベキスタンには34の舗装空港があり、そのうち6つは3,000メートル以上の滑走路を有していました。タシュケント国際空港は、最大の空港として、ヨーロッパや中東など世界各地への国際線が就航しており、モスクワを経由してアメリカへの便もあります。国際線の多くはタシュケント国際空港に集中していますが、ロシアとの国際便は地方空港にも就航しています。

国営のウズベキスタン航空はタシュケント国際空港を拠点とし、国内主要都市や世界各国への路線を運航しています。2022年時点で世界40都市以上に国際線を就航させており、日本への直行便もあります。

タシュケント国際空港は、旅客・貨物取扱量ともに国内最大ですが、カザフスタン国境の近さや冬季の霧などによる運航への支障などの課題から、ナヴォイ空港の国際空港化が進められています。ナヴォイ空港は経済特区開発の拠点として機能し、貨物便の利用が増えています。

近年では、ビザ簡素化や免除政策により、観光産業の活性化が期待されています。

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