ウッドストック (曲)

ウッドストック

「ウッドストック」は、アメリカのシンガーソングライター、ジョニ・ミッチェルが手掛けた楽曲で、1969年に開催されたウッドストック・フェスティバルに触発されて作られました。この楽曲は、彼女が当時のボーイフレンドであるグラハム・ナッシュからフェスティバルの様子を聞いたことがきっかけとなり、彼女自身は実際のイベントには参加していませんでした。

ミッチェルは、イベントの直後にマネージャーに提案されたテレビ番組『The Dick Cavett Show』への出演を選び、フェスティバルの報道をニューヨークのホテルの部屋で眺めながらこの曲を創作しました。彼女は後に、実際にその場に行けなかったことで感じた喪失感が、ウッドストックに対する独特の視点を与えたと述べています。

初披露とアルバム収録

「ウッドストック」は、1969年9月にカリフォルニア州ビッグサーで開催された「ビッグサー・フォーク・フェスティバル」で初めて披露されました。この時の演奏は、1971年に公開された映画『Celebration at Big Sur』でも見ることができます。ミッチェルは、その後多くの大型フェスティバルでの演奏を避けるようになりますが、この演奏は特別な例となります。

同曲は、1970年4月にリリースされた彼女のアルバム『レディズ・オブ・ザ・キャニオン』に登場し、同年にシングルとしても表に出されました。その際、シングル「ビッグ・イエロー・タクシー」のB面にも収録されています。オリジナルバージョンは彼女のソロボーカルで、多重録音を用いたバッキングボーカルと、トレモロの掛かったウーリッツァーのエレクトリックピアノが特徴であり、これもすべてミッチェル本人によるものです。後の再録音では、バンドサウンドが加わりました。

他のアーティストによるカバー

特に、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングによるバージョンも注目されます。このバージョンは1970年3月にリリースされ、ビルボード・Hot 100で2週連続11位という成果を収めました。このバージョンのリードボーカルはスティーヴン・スティルスが担当しています。映画『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』のエンディングでも使用されています。

他にも、1970年にはマシューズ・サザン・コンフォートのカバーが全英シングルチャートの首位に輝き、様々なアーティストがこの曲をカバーしています。その中には、エヴァ・キャシディ、ジェームス・テイラーやデヴィッド・クロスビーのバージョンも含まれています。

その他の情報

ジョニ・ミッチェルの「ウッドストック」は、このフェスティバルの意義を非常に深く理解する作品として高く評価されています。デヴィッド・クロスビーは、ドキュメンタリー『Joni Mitchell: Woman of Heart and Mind』で、ミッチェルがフェスティバルの感覚や重要性をその場にいた誰よりも鮮やかに表現したと言及しています。また、歌詞の中に登場する「We are billion year old carbon」というフレーズは、1960年代をテーマにした小説のタイトルにも使われました。このように、「ウッドストック」は音楽史における重要な作品であり、今なお多くの人々に愛され続けています。

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