ウッド・バッファロー国立公園

ウッド・バッファロー国立公園は、カナダの北部に位置し、アルバータ州北東部とノースウエスト準州南部にまたがる広大な国立公園です。その面積は44,807平方キロメートルにも及び、カナダ国内で最大の規模を誇ります。この公園は、世界で最も規模の大きいシンリンバイソン（アメリカバイソンの亜種）の群れが生息していることで知られ、その保護を目的として1922年に設立されました。現在では、約5,000頭のシンリンバイソンが生息していると推定されています。

公園の地形は多様で、リトル・バッファロー川の標高183メートルからカリブー山脈の945メートルまで変化に富んでいます。公園の本部はフォートスミスに置かれ、支部はフォートチペワイアンにあります。特に重要な地形的特徴としては、ピース川、アサバスカ川、スレイブ川によって形成された、世界でも有数の規模を誇る淡水三角州が挙げられます。また、ノースウエスト準州側には、カルスト地形によって形成された陥没穴も見られます。

生物多様性の宝庫

ウッド・バッファロー国立公園は、多様な野生動物が生息する場所としても知られています。ヘラジカ、アメリカグマ、オオカミ、カナダオオヤマネコ、ヒグマ、カンジキウサギ、カナダヅル、シンリンバイソン、ライチョウ、ガーターヘビなど、数多くの動物たちがこの公園で暮らしています。特に注目されるのは、絶滅危惧種であるアメリカシロヅルの野生での唯一の繁殖地であり、夏の生息地としても重要な役割を果たしている点です。この公園はラムサール条約にも登録されており、数多くの湖、湿原、沼、ボグ、小川、池など、多様な水域が存在しています。また、東部に広がるピース・アサバスカ・デルタ一帯もラムサール条約の登録地となっています。

世界遺産としての価値

ウッド・バッファロー国立公園は、その豊かな自然と生態系から、1983年にユネスコの世界遺産に登録されました。公園内には、生物学的に多様性に富んだ世界最大の内陸三角州であるピース・アサバスカ・デルタが広がっており、多くの野生のシンリンバイソンが生息しています。この世界遺産は、以下の3つの登録基準を満たしています。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
* (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

アクセス

ウッド・バッファロー国立公園へのアクセスは、年間を通して可能で、ハイウェイ5号線につながるマッケンジー・ハイウェイを利用してフォートスミスへ行くことができます。また、定期便もエドモントンからフォートスミスとフォートチペワイアンに運航しています。冬期には、アイスロードを利用してフォートマクマレーからフォートチペワイアンにアクセスすることも可能です。

ウッド・バッファロー国立公園は、その広大な面積と多様な生態系から、世界的に重要な自然保護区としての役割を果たしています。その美しい景観と野生動物の生息地は、訪れる人々に深い感動を与え、自然の恵みを感じさせてくれるでしょう。

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