ウトラメール

ウトラメール（Outremer）

ウトラメール（Outremer）は、フランス語で「海の向こう側」を意味し、具体的には、第1回十字軍の後にレバント地方に設立された十字軍国家群の総称として用いられます。

ウトラメールの範囲

ウトラメールは、主に以下の四つの国家を指します。

1. エデッサ伯国
2. アンティオキア公国
3. トリポリ伯国
4. エルサレム王国

これらの国家の中で、特にエルサレム王国を指してウトラメールと呼ぶこともあります。この地域は、レバント、シリア地方、パレスチナなど、東地中海の海岸沿いの地域と同義で使われることもあり、現在の国名でいうと、イスラエルの大部分、パレスチナ自治区、ヨルダン、シリア、レバノン、そしてトルコの一部（ハタイ県など）に相当します。

ウトラメールの語源と意味

フランス語の「outre」は「向こう側」を、「mer」は「海」を意味し、合わせて「海の向こう側」となります。この言葉が示すように、ウトラメールはヨーロッパから見て東地中海の向こう側にある地域を指す言葉として生まれました。

フランスにおけるウトラメール

フランスでは、「ウトラメール」という言葉は、海外全般を指す言葉としても使われます。例えば、10世紀のフランス王ルイ4世は、イングランドで育てられたため、「ウトラメールのルイ（ルイ渡海王、ルイ海外王）」と呼ばれました。また、近代フランスにおいても、「ウトラメール」は海外を指す言葉として用いられ、特に海外県・海外領土（DOM-TOM, départements d'outre-mer et territoires d'outre-mer）を指す際に使われます。

まとめ

ウトラメールは、十字軍の歴史において重要な意味を持つ言葉であり、その範囲は中東地域の一部分から、フランスの海外領土まで、多岐にわたります。

ウトラメール