ウドカズラ

ウドカズラ

ウドカズラ（学名：Ampelopsis cantoniensis var. leeoides）は、ブドウ科に属するつる性の落葉木本です。

概説

ウドカズラは、6月から7月にかけて黄緑色の小さな花を咲かせ、秋には赤い実をつけます。この実は鳥や哺乳類に好まれ、葉は蛾の幼虫の食料となります。山岳地帯に多く見られますが、生育場所は限られており、図鑑に掲載されていないこともあります。春日大社境内には自生地があり、学術的にも貴重な植物です。

特徴

• - 形態: つる性の落葉木本で、枝には皮目があります。巻きひげは二股に分かれます。
• - 葉: 大きく、柄を含めて12～30cm。単羽状複葉で、側小葉は2～4対。最下の側小葉は3つに分かれることがあります。小葉は卵形、楕円形、長楕円形など様々で、長さ3～10cm、先端は尖り、基部はくさび形、縁には低い鋸歯があります。両面とも無毛ですが、脈上には短い毛があります。
• - 花: 6～7月に開花。花序は大きく短い柄があり、花は緑色で小さく、直径2～3mm。花弁は5枚です。
• - 果実: 球形で直径7mm、赤から黒色に熟します。
• - 名前の由来: 葉がウコギ科のウドの葉に似ていることが名前の由来です。

分布と生育環境

ウドカズラは、本州（紀伊半島、山口県）、四国、九州、台湾北部に分布します。林縁や林内に生育し、愛媛県ではスギ植林や自然林の林縁で見られます。大分県では低地の谷沿いの林縁などで見られます。

分類

ノブドウ属には世界に約30種が知られており、日本にはウドカズラの他にノブドウが分布しています。アツバウドカズラという種も記録されていますが、検討が必要です。

保護の状況

環境省のレッドデータブックには指定されていませんが、多くの府県で絶滅危惧種に指定されています。京都府、兵庫県、島根県、山口県、福岡県では絶滅危惧I類、三重県、奈良県、広島県、愛媛県、大分県、熊本県では絶滅危惧II類、和歌山県では準絶滅危惧に指定されています。岡山県では絶滅したとされています。京都府では個体数が少なく、北限にあたります。愛媛県では生育箇所は複数ありますが個体数は少なく、森林伐採などによる生育環境の悪化が懸念されています。分布域の多くで個体数が少ない状況です。

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