ウナギ目

ウナギ目(Anguilliformes)

ウナギ目（ウナギもく、学名：Anguilliformes）は、硬骨魚類に属する多様なグループです。このグループには、ウナギ、アナゴ、ハモ、ウツボなど、約938種もの魚が含まれています。これらの魚は、8つの亜目、19の科、159の属に分類されています。

ウナギ目と名前が似ている魚

名前の中に「ウナギ」とついていても、ウナギ目の魚ではないものがいます。例えば、ヤツメウナギ、ヌタウナギ、デンキウナギ、タウナギ、トゲウナギ、アミメウナギなどです。ヤツメウナギとヌタウナギは、円口綱に属しており、無顎上綱ヌタウナギ綱に分類されるため、一般的に言われる「魚類」とは異なります。デンキウナギはデンキウナギ目、タウナギとトゲウナギはタウナギ目、アミメウナギはポリプテルス目に分類されます。

フウセンウナギ目は、以前はウナギ目とは異なるグループと考えられていましたが、近年の研究により、ウナギ目内部に分岐し、ウナギ科に近い可能性があることが示唆されています。

分布と生態

ウナギ目の魚は、熱帯や温帯を中心に世界中の海に広く分布しています。ほとんどの種類は海水魚ですが、ウナギ科のように淡水や汽水域に回遊する種類もいます。しかし、これらの種類も産卵は海で行います。ウツボ科のように沿岸のサンゴ礁や岩礁に生息するものから、シギウナギ科やホラアナゴ科のような深海魚まで、生息範囲は非常に広いです。また、生涯を河川で過ごす完全な淡水魚も少なくとも6種類存在することが知られています。

多くのウナギ目の魚は夜行性で、昼間は物陰に隠れたり、水底の砂泥に潜り込んだりしています。夜になると、細長い体をくねらせて泳ぎ、餌を探します。チンアナゴのように砂底から離れずにプランクトンを待ち伏せする種類もいますが、多くは肉食性で、他の魚類、甲殻類、貝類、頭足類などを捕食します。ウツボ科、ウミヘビ科、ハモ科の魚は、獲物を捕らえるために大きな口と鋭い歯を発達させており、不用意に扱うと人間でも噛みつかれることがあります。

ウナギ目の魚は一般的に小卵多産で、浮遊卵を産みます。天然のウナギ科魚類の卵は、2009年に西マリアナ海嶺で初めて確認されました。

幼生（レプトケファルス）

卵から孵化した仔魚はレプトケファルス（葉形仔魚）と呼ばれ、半透明で木の葉のように平たい形をしています。この独特な幼生期は、ウナギ目が属するカライワシ上目の魚に共通する特徴です。ウナギ目のレプトケファルスは、尾鰭が小さく丸みを帯びており、背鰭と臀鰭が連続している点が特徴です。レプトケファルスと成魚の形態は大きく異なるため、親子の対応関係が不明な種類も存在します。

レプトケファルス幼生は漂泳生活を送りながら成長し、20cm未満（50cmを超える種類もいます）で変態を行い、成魚とほぼ同じ形態の稚魚になります。この変態の過程で、一般的に体長は短くなります。

形態

成魚の体は細長い円筒形で、いわゆるウナギ型をしています。鱗を持たない種類が多く、鱗がある場合でも厚い皮膚に埋もれています。鰓の開口部は狭く、鰓耙を持っていません。すべての種類が腹鰭とそれを支える骨格を持たず、ウツボ科の仲間では胸鰭も欠いています。背鰭と臀鰭の基底は非常に長く、尾鰭と繋がって1つの鰭のようになっています。

顎は歯を備えた主上顎骨によって縁取られており、前上顎骨、鋤骨、篩骨は癒合して単一の骨となっています。接続骨と方骨は癒合します。間在骨、眼窩蝶形骨、中烏口骨、後側頭骨、後擬鎖骨、前主上顎骨を欠き、鰓条骨は6〜49個です。

分類

ウナギ目には、8つの亜目、19の科、159の属、約938種が分類されています。

ムカシウナギ亜目 Protanguilloidei
Synaphobranchoidei亜目
ウツボ亜目 Muraenoidei
Chlopsoidei亜目
アナゴ亜目 Congroidei
Moringuoidei亜目
Saccopharyngoidei亜目
ウナギ亜目 Anguilloidei

それぞれの亜目、科には固有の特徴があり、多様な進化の過程を辿ってきたことがわかります。

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