ウミオウム

ウミオウムについて

ウミオウム（学名：Aethia psittacula）は、チドリ目ウミスズメ科に属する海鳥です。
この鳥は独自のウミオウム属に分類されることもあり、その場合、学名はCyclorrhynchus psittaculaとなります。特徴的なくちばしを持つこの鳥は、北太平洋の様々な島嶼で繁殖し、特にオホーツク海やベーリング海、千島列島、アリューシャン列島などがその主な生息地です。

分布

ウミオウムは、オホーツク海やベーリング海の沿岸地域で繁殖を行います。また、樺太の東部にも繁殖地が存在します。寒い冬の期間中は、少し南の地域へ移動することが多いです。日本国内では、主に北日本の海上で観察することができる冬鳥として知られていますが、繁殖の記録はほとんどありません。

形態

ウミオウムの体長は約25cmで、一般的なハトより少し小さいサイズです。その特徴的なくちばしは赤く、短くて太めであり、下のくちばしが上に反っているのが目立ちます。この特徴が和名の由来とされています。また、目の後ろには白い細い飾り羽があり、夏羽は頭と背中が灰黒色、腹部が白く、わき腹には灰黒色と白のまだら模様があります。冬羽ではわき腹が白くなりますが、あまり大きな変化はありません。

外見はエトロフウミスズメに似ていますが、お腹の色や冠羽の有無で容易に見分けることができます。

生態

ウミオウムは繁殖期以外の期間、主に海の上で生活し、通常は群れを作ることは少なく、単独行動や2〜3羽での行動を好みます。食性は魚類に依存し、海に潜ってオキアミや端脚類、ケンミジンコなどを捕食します。また、時折クラゲなども食べることが報告されています。潜水能力は30m程度まで及び、沿岸から離れた外洋でも餌を取ることができるため、他のウミスズメ類に比べて飛行時に高い位置を飛ぶことが特徴です。

繁殖は4月から5月にかけて行い、海岸の崖や周囲の草原にコロニーを形成します。時には他の種も混在することがあります。つがいを作ると、ウミオウムは巣の周りで大声で鳴き交わし、これは捕食者から巣を守るためと考えられています。メスは1個の卵を産み、それを約1ヶ月間抱卵します。ヒナが孵化した後は、両親が毎日約4回、35日ほど給餌を行います。ヒナが十分に成長すると、夜間に一人で巣立ちます。

現在、ウミオウムの個体数は約100万羽とされ、ウミスズメ類の中では比較的多い部類に入ります。しかし、海洋汚染や捕食者の影響により、その存在が将来的に脅かされる可能性もあると考えられています。

参考文献

• - 桐原政志『日本の鳥550 水辺の鳥』文一総合出版（2000年）
• - 箕輪義隆『海鳥識別ハンドブック』文一総合出版（2007年）

関連項目

• - 日本の野鳥一覧

もう一度検索