ウミスズメ科

ウミスズメ科 (Alcidae)

ウミスズメ科は、チドリ目に属する海鳥のグループで、北半球の寒帯・亜寒帯の海洋に生息しています。外洋での生活に適応しており、潜水能力に優れているのが特徴です。しかし、スズメとは全く異なるグループに属します。

特徴

分布: 北大西洋、北太平洋、北極海。
形態: 種によって大きく異なり、全長15cm程度のコウミスズメから45cmほどのハシブトウミガラスまで存在します。絶滅種であるオオウミガラスは全長80cmにも達しました。体色は黒、灰色、褐色などが一般的で、種類によっては頭部に飾り羽を持つものもいます。嘴は太く、特にツノメドリ類では獲物を保持しやすい形状をしています。
生態: 海洋での生活に適応しており、繁殖期以外はほとんど陸に上がりません。魚類、軟体動物、甲殻類などを捕食します。集団で繁殖地（コロニー）を形成し、崖や岩の隙間などに巣を作ります。

潜水能力

ウミスズメ科の鳥類は、翼を使って水中を推進するという、他の多くの潜水性の鳥類とは異なる特徴を持っています。足は潜水中の舵の役割を果たしますが、体の後部に位置し、発達も十分ではないため、陸上での歩行は得意ではありません。

短い翼は、水中での抵抗を減らすのに役立ちますが、飛行には必ずしも適していません。そのため、アホウドリやミズナギドリのような長距離の滑空は得意ではありませんが、素早い羽ばたきや水面を羽ばたくことで、高い飛翔力を発揮します。

系統と分類

ウミスズメ科は、トウゾクカモメ科と最も近縁であることがわかっています。かつてはカモメ科などと近縁であると考えられていましたが、近年の研究でその系統関係が明らかになりました。

下位分類

ウミスズメ科は、以下の亜科、族、属、種に分類されます。

ウミスズメ亜科 (Alcinae)
オオハシウミガラス族 (Alcini)
ヒメウミスズメ属 (Alle): ヒメウミスズメ
ウミガラス属 (Uria): ハシブトウミガラス、ウミガラス
オオハシウミガラス属 (Alca): オオハシウミガラス
†オオウミガラス属 (Pinguinus): †オオウミガラス
ウミバト族 (Cepphini)
ウミバト属 (Cepphus): ハジロウミバト、ウミバト、ケイマフリ
マダラウミスズメ族 (Brachyramphini)
マダラウミスズメ属 (Brachyramphus): マダラウミスズメ、ハシナガウミスズメ、コバシウミスズメ
ウミスズメ族 (Synthliboramphini)
ウミスズメ属 (Synthliboramphus): セグロウミスズメ、スクリップスウミスズメ、クラベリーウミスズメ、ウミスズメ、カンムリウミスズメ
エトロフウミスズメ族 (Aethini)
アメリカウミスズメ属 (Ptychoramphus): アメリカウミスズメ
エトロフウミスズメ属 (Aethia): ウミオウム、コウミスズメ、シラヒゲウミスズメ、エトロフウミスズメ
ツノメドリ族 (Fraterculini)
ウトウ属 (Cerorhinca): ウトウ
ツノメドリ属 (Fratercula): ニシツノメドリ、ツノメドリ、エトピリカ

人間との関係

ウミスズメ科の鳥類は、人間活動によって大きな影響を受けています。人為的に移入された動物による捕食、漁業による混獲、繁殖地への人間の侵入などにより、多くの種で生息数が減少しています。

絶滅危惧種

絶滅 (EX): オオウミガラス
近絶滅種 (CR): コバシウミスズメ
危急種 (VU): セグロウミスズメ、クラベリーウミスズメ、カンムリウミスズメ

日本では、ウミガラス、ウミスズメ、エトピリカなどが絶滅危惧種に指定されています。これらの鳥類を保護するためには、生息地の保全や混獲防止などの対策が必要です。

関連項目

* キビヤック: イヌイットの伝統的な保存食。ウミスズメなどの海鳥を、アザラシの皮袋に詰め込み、発酵させたもの。

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