ウラガン級揚陸艦

ウラガン級揚陸艦：フランス海軍の多用途輸送揚陸艦

ウラガン級揚陸艦は、フランス海軍が運用していたドック型輸送揚陸艦（LPD）に相当する艦級です。その特徴は、高い輸送能力と多様な任務への対応力にあります。本稿では、その設計と能力、そして歴史について詳細に解説します。

圧倒的な輸送能力：巨大なウェルドックと搭載能力

ウラガン級揚陸艦の最大の特徴は、その巨大なウェルドックです。全長120メートル、幅14メートル、高さ5.5メートルのウェルドックは、最大水深3メートルまで浸水させることができ、EDIC汎用揚陸艇2隻、あるいはLCM(6)型機動揚陸艇18隻を収容可能でした。

しかし、本級は常設の車両甲板を備えていないため、車両や物資は上陸用舟艇に搭載するか、あるいは全長90メートルの仮設甲板を設置する必要がありました。この仮設甲板は15個のセクションに分割可能でしたが、設置時にはウェルドックの使用面積が減少するという制約がありました。

ウェルドックを車両甲板として使用した場合、1500トンの装備や物資を搭載することができました。具体的な搭載例としては、シュペル・フルロンヘリコプター18機、アルエットヘリコプター80機、AMX-13軽戦車120両、DUKW水陸両用車84両、ジープ340両、50トン積みバージ12隻など、多様な装備の輸送が可能です。これらの物資の揚降には、ウェルドック上に設置された35トン能力のクレーン2基が使用されました。

柔軟な運用性：ヘリコプター甲板と移設式プラットフォーム

艦橋は右舷側に配置されたアイランド型で、その左舷側には固定式のヘリコプター甲板が設置されています。さらに、必要に応じて、全長36メートルの移設式プラットフォームをウェルドック上に設置することも可能でした。このプラットフォームも6個のセクションに分割可能で、状況に応じた柔軟な運用を可能としていました。

アルゼンチンへの売却とアスベスト問題

退役後、アルゼンチン海軍による購入が検討されました。しかし、クレマンソー級航空母艦と同様に、アスベスト問題を抱えていたことが判明し、2007年1月末にはアルゼンチン側によって購入不可能との判断が下されました。これは、ウラガン級の運用終了に終止符を打つこととなりました。

まとめ：高い輸送能力と多用途性を備えた揚陸艦

ウラガン級揚陸艦は、その巨大なウェルドックと多様な搭載能力、そしてヘリコプター甲板による高い輸送能力と柔軟な運用性を誇る艦艇でした。アスベスト問題による売却失敗は残念ではありましたが、フランス海軍におけるその貢献は大きなものであったと言えるでしょう。今後の研究においては、本級の設計思想や運用実績、そしてアスベスト問題への対応などが重要なテーマとなるでしょう。

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