ウラジーミル・ワシーリエフ

ウラジーミル・ヴィクトロヴィチ・ワシーリエフ

ウラジーミル・ヴィクトロヴィチ・ワシーリエフ（1940年4月18日 - ）は、ロシアの著名なバレエダンサーおよび振付家であり、ボリショイ劇場の元芸術総監督でもあります。彼の情熱と才能は、数十年にわたってバレエの世界に大きな影響を与えてきました。

生い立ちと初期のキャリア

ワシーリエフはモスクワで、父親が工場の運転手で母親が管理職という家庭に生まれました。幼い頃からダンスに興味を持ち、7歳の時に少年団のバレエ教室に通い始めました。そこで彼の教師であるE・R・ロッセがその才能に気づき、早くも年上のクラスに編入されました。彼は1948年、ロシアとウクライナの民族舞踊の公演で、ボリショイ劇場の舞台に立つ機会を得ました。

1949年にはボリショイ・バレエ学校に入学し、E・ラピンスキーやM・ガボーヴィチから指導を受けます。1958年に学校を卒業後、彼はボリショイ・バレエ団に入団し、翌年には作品『石の花』でデビューを果たします。その後も、『せむしの仔馬』『レイリとメジュヌーン』など、数々の新作で素晴らしいパフォーマンスを披露し、批評家や観客から高い評価を受けました。

国際的な成功と振付活動

1964年にはヴァルナ国際バレエコンクールで金賞とグランプリを獲得し、同年にはパリでニジンスキー賞も受賞しました。彼は古典作品にもレパートリーを広げ、『ドン・キホーテ』や『ロミオとジュリエット』などの大作でその存在感を示しました。

ワシーリエフの特徴は、抜群のテクニックと豊かな演劇的表現力です。特に、高い跳躍は彼のトレードマークとなっており、観客を魅了し続けました。さらに、ボリショイの首席バレエ・マスターとしても重要な役割を果たし、Y・グリゴローヴィチの作品において、数多くの初演に貢献しました。

1971年からは振付演出にも挑戦し、『アニュータ』『イカロス』『マクベス』『シンデレラ』『白鳥の湖』など、数多くの成功作を手掛けました。1995年からはボリショイ劇場の芸術総監督を務めましたが、2002年にその職を退くことになりました。

私生活と趣味

ワシーリエフは、2009年に亡くなった妻E・マクシーモワとの出会いが彼のバレエ人生に深く影響を与えました。彼女とはバレエ学校での同級生であり、最強のデュエットとして名を馳せました。二人には子供はいませんが、その芸術的な相性は多くの人に知られています。

趣味は絵画であり、特にゴッホやモネ、レンブラントを好んで鑑賞しています。また、54歳で詩作を始め、2000年には詩集『日々の鎖』を発表しました。1973年にはソ連人民芸術家の称号を与えられ、その功績が認められました。

彼の業績は今も多くの人々に愛され、バレエ界における彼の影響は計り知れません。

もう一度検索