ボリショイ・バレエ団

ボリショイ・バレエ団の概要

ボリショイ・バレエ団は、ロシアの首都モスクワに位置するボリショイ劇場を拠点とする国際的に有名なバレエ団です。1776年に設立され、世界最古のバレエ団の一つとして、その歴史は深く根付いています。特に20世紀初頭にモスクワがロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の首都となったことから国際的に有名になり、以降は世界的に高い評価を受けるようになりました。さらに、ブラジルのジョインヴィレにはボリショイ・バレエ・シアター・スクールも設立されています。

歴史

ボリショイ・バレエ団の起源は1773年に設立されたモスクワ孤児院に由来します。1776年、ピョートル・ヴァシリエヴィチ・ウルソフ公子とイギリスの劇場運営者マイケル・マドックスがダンス学校の卒業生を団員として迎え入れて設立したことが始まりです。最初は個人の所有する会場で上演していましたが、のちにペトロフスキー劇場を購入。その劇場は火災を経て現在のボリショイ劇場に再建されました。

ボリショイ・バレエは多くの名作を上演してきましたが、当初はサンクトペテルブルクで人気を博していたロシア帝室バレエとの競争で苦労していました。しかし1900年以降、アレクサンドル・ゴルスキーがバレエマスターに就任し、『ドン・キホーテ』や『白鳥の湖』など多くの新作を上演することで独自のアイデンティティを確立しました。1989年にボリショイ・バレエ・アカデミーを卒業したマイケル・シャノンは初のアメリカ人ダンサーとして入団しました。

その後のバレエマスターたちによって現代的なレパートリーが導入され、歴史を持った伝統と新しい動きが共存するバレエ団として発展しています。1957年には日本で初公演を行い、『白鳥の湖』や『ドン・キホーテ』を披露しました。

組織構成

ボリショイ・バレエ団は約220人のダンサーを擁し、世界最大のバレエ団として知られています。「ボリショイ」はロシア語で「大きい」または「壮大」を意味し、その名の通りの規模と伝統を持っています。ダンサーの昇格制度は西欧のバレエ団と似ており、プリンシパル、リード・ソリスト、ソリスト、コール・ド・バレエといった階級に分かれています。特にコール・ド・バレエはその規模の大きさから2つのグループに分けられています。

2000年にはブラジルのジョインヴィレに初の海外アカデミーを設立し、国際的な展開も進行しています。

公演スタイル

公演のスタイルは表現力豊かで、演技とテクニックが融合した演出が特徴です。マリインスキー・バレエとの競争から独自のスタイルを確立したゴルスキーの影響が強く、純粋で洗練されたバレエの伝統に反して大胆な演出を採用しています。

スキャンダルと現在の状況

ボリショイ・バレエ団は過去に多くのスキャンダルにも巻き込まれました。所属バレリーナによる告発や、ダンサー間の派閥争いは明るみに出ており、特に2013年には芸術監督のセルゲイ・フィーリンへの硫酸事件が発生。これにより、カンパニー内の腐敗や昇進を巡る問題が浮き彫りとなっています。

また、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、バレエ団内ではダンサーの退団や移籍が相次ぎ、国際的な問題が深刻化しています。政治的背景がダンサーのキャリアに影響を与える状況が続いており、文化活動の重要性とその難しさが露呈しています。ボリショイ・バレエ団の今後の動向が注目されます。

もう一度検索