ウラル・アレクシス・ジョンソン

U・アレクシス・ジョンソン

U・アレクシス・ジョンソン（U. Alexis Johnson、1908年10月17日 - 1997年3月24日）は、アメリカ合衆国の著名な外交官です。彼の外交キャリアは、駐チェコスロバキア大使、駐タイ大使、そして駐日アメリカ合衆国大使といった重要な役職を歴任しました。また、国務省においても政治担当国務次官などの要職を歴任し、アメリカ外交の中枢で活躍しました。

ジョンソンは、カンザス州ファルーンで生まれ、1931年にオクシデンタル・カレッジを卒業後、ジョージタウン大学での研修を経て国務省に入省しました。彼は日本語を専門とし、1935年には語学研修のため初めて日本を訪れました。その後、日本統治下の各地で勤務し、奉天副領事として太平洋戦争開戦を迎え、1942年に帰国しました。

終戦後は、占領軍司令部での勤務を経て、1947年から横浜総領事を務めました。その後、国務省では北東アジア部次長、部長、極東担当国務次官補代理などを歴任し、朝鮮戦争の休戦交渉にも従事しました。1953年には駐チェコスロバキア大使に任命され、1955年から1958年までジュネーブで開催された米中大使級会談では、米国代表を務めました。

1960年代には、ケネディ政権、ジョンソン政権下で国務省本省の政治担当国務副次官補、政治担当国務副次官を歴任し、1965年にはサイゴンで暗殺未遂事件に遭遇しました。1966年、エドウィン・ライシャワーの後任として駐日大使に指名され、日本政府に信任されました。当時、局長級の次官補が各国大使に任命されるのが一般的でしたが、副次官経験者のジョンソンの就任は異例でした。駐日大使時代には、経済大国としての地位を確立しつつあった日本との関係調整に尽力し、小笠原諸島返還や沖縄返還の実務レベルでの交渉に貢献しました。生え抜きの外交官として「静かなる外交」を実践しましたが、同時にライシャワー時代に促進された大使館レベルでの日米の知的交流を維持することにも注力しました。

1969年、ニクソン政権下で政治担当国務次官に就任し、国務省における生え抜き外交官のトップとして、ホワイトハウス主導の外交政策を進めるヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官との間で権限争いがあったとされます。しかし、キッシンジャーは、国務省きっての日本専門家であるジョンソンを高く評価し、対日政策のブレーンとして頼っていました。

1973年から1977年まで、第二次戦略兵器制限交渉（SALT2）の米国代表を務めた後、国務省を退職しました。1984年には、日本政府より勲一等旭日大綬章を授与されました。1997年3月24日、肺炎のため死去しました。

ジョンソンは日本専門家として、日本との関係は非常に緊密でしたが、回想録で「日本を敬服するが、日本に恋をしたことはない」と記しているように、ライシャワーとは異なり、日本とは一定の距離を保っていました。また、ニクソンとキッシンジャーによる「頭越し」の米中接近には、日米両国の信頼関係と国益を損なうと批判的でした。

ジョンソンのインタビューは、トルーマン、ケネディ、ジョンソンの各大統領図書館にオーラル・ヒストリーとして収録されています。

略歴

1937年：在京城副領事（-1939年）
1939年：在天津副領事
1940年：在奉天副領事（-1941年）
1942年：在リオデジャネイロ副領事（-1944年）
1945年：在マニラ総領事（-1946年）
1946年：在日連合軍横浜司令部政治顧問（-1947年）
1947年：在横浜総領事（-1949年）
1949年：国務省北東アジア部次長（-1951年）
1951年：同部長
1951年：極東担当国務副次官補（-1952年）
1953年：駐チェコスロバキア大使（-1957年）
1958年：駐タイ大使（兼東南アジア条約機構米国代表、-1961年）
1961年：政治担当国務副次官補（-1964年）
1964年：駐南ベトナム次席大使（-1965年）
1965年：政治担当国務副次官（-1966年）
1966年：駐日本国大使（-1969年）
1969年：政治担当国務次官（-1973年）
1973年：無任所大使・第二次戦略兵器制限交渉 (SALT2) 交渉代表（-1977年）

著書

共著
The Right Hand of Power: The Memoirs of an American Diplomat, with Jef Olivarius McAllister, （Prentice-Hall, 1984）.
増田弘訳『ジョンソン米大使の日本回想――二・二六事件から沖縄返還・ニクソンショックまで』（草思社, 1989年, 日本関係部分のみを抄訳したもの）
共編著
The Common Security Interests of Japan, the United States, and NATO, (Ballinger Pub. Co. 1981).
China Policy for the Next Decade: Report of the Atlantic Council's Committee on China Policy, co-edited with George R. Packard, Alfred D. Wilhelm, Jr , (Oelgeschlager, Gunn & Hain, 1984).

参考文献

U・アレクシス・ジョンソン（増田弘訳）『ジョンソン米大使の日本回想』（草思社, 1989年）
池井優『駐日アメリカ大使』（文藝春秋［文春新書］, 2001年）

関連項目

ジョセフ・グルー
西山千

外部リンク

Oral History Interview with U. Alexis Johnson
トルーマン大統領図書館所蔵のインタビュー、1975年6月収録

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