ウラル航空1383便不時着事故

ウラル航空1383便不時着事故について

2023年9月12日、ロシアにおいてウラル航空1383便の不時着事故が発生しました。この事故は、ソチ国際空港を出発し、オムスク・ツェントラーリヌイ国際空港へ向かう途中に発生しました。1383便はエアバスA320型機で、159名の乗客と6名の乗員を乗せていました。

事故の概要

同便はオムスクへの最終進入中に着陸を試みましたが、パイロットは臨時で着陸復行（ゴーアラウンド）を選択しました。その際、油圧系統に故障が生じ、ブレーキへの影響が報告されました。このため、乗員は目的地を変更し、オムスク（滑走路長2500m）よりも長い滑走路を有するノヴォシビルスク（3600m）へ向かう決定をしました。この二つの空港間の距離は約600kmです。

しかし、機体の油圧故障が降着装置のドアを閉じることを妨げており、また強い向かい風の影響で空気抵抗が増加し、燃料も予想以上に消費されてしまいました。そのため、パイロットはノヴォシビルスクに到達できない可能性が高いと判断し、最終的には適切な不時着地点を探すことにしました。

1383便は、空港から約180km離れたノヴォシビルスク州ウビンスキー地区のカメンカという村の近隣に不時着しました。幸いにも、乗員乗客165名は全員無事に緊急脱出し、死傷者は報告されませんでした。この成功した避難の背後には、乗員の冷静な判断と訓練があったと考えられます。

事故機の詳細

ウラル航空1383便に使用されたエアバスA320-214（製造番号2166）は2004年に初飛行を行った機体です。この機体はCFMインターナショナルのCFM56-5B4/Pエンジンを搭載していました。最初はエア・アラビアに引き渡され、2004年にはアラブ首長国連邦籍のA6-ABBとして登録されました。その後、エア・アラビア・モロッコに移籍し、モロッコ籍のCN-NMEとして使用されましたが、最終的にはウラル航空に移籍し、バミューダ籍のVP-BMWとして再登録されました。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁により、バミューダでの耐空証明が取り消され、2022年にロシア籍のRA-73805として再登録されました。こうした背景が、今回の事故に影響したかどうかは、今後の調査によって明らかになるでしょう。

関連事故

過去には2019年にもウラル航空178便が不時着事故を起こしています。この便はジュコーフスキー空港を離陸後、カモメの群れに衝突し、両エンジンが停止しましたが、パイロットが近くのトウモロコシ畑に不時着することで、乗員乗客233人は無事でした。

このように航空機事故は時折発生していますが、多くの乗員と乗客が安全に避難できるよう、航空業界は引き続き安全対策に注力していく必要があります。

もう一度検索