ウリヤノフスク級原子力空母

ウリヤノフスク級原子力空母

ウリヤノフスク級原子力空母は、ソビエト連邦海軍が開発を計画した原子力空母の艦級です。正式名称は1143.7型重航空巡洋艦、計画名は「オリョール」とされていました。ソ連崩壊により建造は中断され、未完成のまま解体されましたが、その設計は後の中国空母開発に影響を与えたとされています。

概要

ウリヤノフスク級は、アドミラル・クズネツォフ級に続く全通飛行甲板を備えた航空機搭載艦として計画されました。アドミラル・クズネツォフ級を大型化したような外観を持ち、艦首にはスキージャンプ台が設置されていました。しかし、大きな違いとして、アングルド・デッキと蒸気カタパルト2基を搭載し、機関も原子力としました。これにより、より大型で高性能な艦載機の運用が可能になるはずでした。

開発経緯

ソ連は当初、蒸気カタパルトを搭載した大型原子力空母の建造を計画していましたが、国防省などの反対により、スキージャンプ台を備えた通常動力のクズネツォフ級が建造されることになりました。しかし、反対派の主要人物が死去したことで、蒸気カタパルト搭載の原子力空母の建造が可能となり、ウリヤノフスク級の開発に至りました。この艦は、クズネツォフ級と、その過程で計画された7～8万トン級原子力空母の中間的な存在とも言えるでしょう。

1988年に1番艦「ウリヤノフスク」が起工され、1996年頃の就役を目指していましたが、ソ連崩壊により資金供給が途絶え、1992年に建造は中断されました。当時、船体の一部が完成していたものの、その後再開されることはなく、スクラップとして解体されました。

搭載予定航空機

ウリヤノフスク級には以下の航空機が搭載される予定でした。

Su-33またはMiG-29K戦闘機：44機
Yak-44早期警戒機：4機
Ka-27PL対潜ヘリコプター：16機
Ka-27PS水難救助ヘリコプター：2機

中国による設計図の入手

一部の情報によれば、中国がロシアからウリヤノフスク級の設計図を入手したとされています。この設計図を基に、2020年以降に6万トン以上の原子力空母を建造するという推測も出ています。

同型艦

1143.7型（起工順）
ウリヤノフスク

脚注

本艦は、未完成に終わった軍艦の中では、世界最大級のものです。
計画のみの艦であれば、さらに大型のものが存在します。

関連項目

ロシア将来航空母艦
空母いぶき - 中国海軍国産空母の設計ベースとなったとされる。
空母いぶき GREAT GAME - 作中に登場する改変されたウリヤノフスク級「シビリャコフ」は、ロシア海軍の旗艦として描かれている。

外部リンク

Hazegray.org entry
Project 1143.7 Orel Ul'yanovsk class, GlobalSecurity.org
* A Brief Look at Russian Aircraft Carrier Development, Robin J. Lee.

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