ウルタール・サール

ウルタール・サール：カラコルムの挑戦者たち

ウルタール・サール（ウルドゥー語: آلتر سار）は、パキスタンにあるカラコルム山脈に位置した壮大な山群です。この山群は、ボイオハグル・デュアナシールという別名を持ち、I峰（7,329m）、II峰（7,388m）、フンザ峰（6,270m）などから成っています。それぞれの峰が持つ美しさと神秘的な魅力は、登山家たちの挑戦を引きつけてやみません。

ウルタール・サールは、全ての8,000メートル峰が登頂され、未踏の7000m峰を目指す登山家たちにとって、近年「最後の未踏峰」と見なされることとなりました。この山々は、過去には政治的な理由でアクセスが制限されていたため、特に難しい登頂のターゲットとなりました。

厳しい登山環境

このエリアでは、登山の過程で直面する厳しい条件が多く、頻繁な雪崩や落石、さらに悪天候が登山家たちを苦しめます。そのため、ウルタール・サールは「解の見つからない山」と称されることもあり、一流の登山家であっても幾度も退けられるほどの困難を強いられる場所です。元々は「7000mのアイガー北壁を重ねたような山」と表現され、その険しさが際立ちます。

登山史

1984年7月28日、広島山岳会に所属する三好忠行の指揮のもと、名越實、木佐英一、岡本良一の3名がついにI峰に初登頂を果たしました。その後、2日後には二次アタック隊が成功を収め、この瞬間が水先案内のように、ウルタール・サールの挑戦に新たな道を開くことになりました。

しかし、その後の登頂は容易ではなく、1985年にはスペインのキキ・パブロ隊が落石や雪崩の影響で敗退し、1986年には成田俊夫隊が5,500mまで到達するも、再び落石によって撤退することになりました。

1988年には英米合同のヴィクター・サンダース隊が挑戦しましたが、劣悪な天候とアイゼンの故障に見舞われ、同年にミック・ファウラー隊も悪天候により6500mで断念しました。1990年には長谷川恒男隊が7,020mまで到達しながらも、悪天候が行く手を阻みました。1991年には、長谷川恒男隊の2名が雪崩に遭遇し、悲しい事故が発生しました。

1994年には初めて北面からの攻略が試みられましたが、こちらも成功には至らず、1996年にようやく日本の山岳会からなる隊が南西壁をアルパインスタイルで初登頂を果たします。しかし、この成功の後、隊員の急死という不運も重なります。

その後も、様々なチームがウルタール・サールに挑戦し続け、その過程で多くの運命が交錯します。2018年には、クリスティアン・ヒューバーが雪崩によって遭難するという無情な出来事もありました。

ウルタール・サールは、ただの山ではなく、多くの冒険者たちの夢と悲劇が結びついている特別な場所であることが伺えます。これからも多くの登山家たちが、この険しい山を目指し挑戦し続けることでしょう。

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