ウルフ・シルマー

ウルフ・シルマー（Ulf Schirmer, 1959年 - ）は、現代を代表するドイツ人指揮者であり、その卓越した音楽性と幅広いレパートリーで国際的な評価を得ています。

略歴

ニーダーザクセン州のエッシェンハウゼンで生まれたシルマーは、ブレーメンでピアノと音楽理論を学び、ハンブルク音楽大学でホルスト・シュタイン、クリストフ・フォン・ドホナーニ、ジェルジュ・リゲティといった名匠に師事しました。1980年にマンハイム国民劇場でキャリアをスタートさせ、その後ウィーン国立歌劇場でロリン・マゼールのアシスタントを務め、研鑽を積みました。

1988年から1991年までヴィースバーデンの音楽監督として、ヘッセン州立歌劇場のオーケストラコンサートを指揮。1991年にはウィーン国立歌劇場の常任指揮者に就任し、翌年からはコンサルタントも兼任しました。1995年から1998年までは、デンマーク放送交響楽団の首席指揮者を務めています。

2006年から2017年までミュンヘン放送管弦楽団の芸術監督を務め、オペラやオペレッタのスタジオ録音を積極的に行い、貴重な音源を世に送り出しました。2009年8月にはライプツィヒ歌劇場の音楽監督に就任。2017年に契約を延長しましたが、2022年に退任しています。

ブレゲンツ音楽祭、ウィーン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭、グラーツ歌劇場、パリ・オペラ座、ミラノ・スカラ座、ベルリン・ドイツ・オペラ、ドレスデン国立歌劇場など、世界の名だたる歌劇場に客演。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン交響楽団、バンベルク交響楽団、ドレスデン・シュターツカペレ、スイス・ロマンド管弦楽団といった一流オーケストラも指揮しています。

レパートリーと評価

シルマーは、クリスチャン・ティーレマン、フランツ・ウェルザー＝メスト、インゴ・メッツマッハー、準・メルクルらと並び、戦後のドイツ人指揮者世代を代表する存在です。ドイツ・イタリアオペラを得意とする一方、20世紀から21世紀の映画音楽、オペレッタ、宗教音楽にも精通しており、そのレパートリーは非常に広いです。特に、リヒャルト・シュトラウスのオペラ解釈は高く評価されており、代表的な録音・録画として「カプリッチョ」があります。

日本の新国立劇場にも度々客演しており、「フィガロの結婚」（2003年）、「エレクトラ」（2004年）、「西部の娘」（2007年）、「アラベラ」（2010-11年シーズン開幕公演）などを指揮しています。

シルマーの演奏は、作品への深い理解と情熱、そして卓越した技術に裏打ちされており、聴衆を魅了し続けています。

外部リンク

German-language biography from Munich Radio Orchestra website

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