ウーマンズハート:気性とスピード、そして短い輝き
北海道日高町にあるダーレー・ジャパン・ファームで
2017年2月8日に誕生した競走馬、ウーマンズハート。牧場時代からやんちゃで負けず嫌いな性格で知られていましたが、怪我や病気とは無縁の、逞しい日々を送っていました。
2歳となった
2019年、栗東・
西浦勝一厩舎に入厩します。
8月3日、
新潟競馬場で行われた芝1600メートルの
新馬戦でデビュー。
津村明秀騎手を鞍上に、2着に3馬身半差をつける圧勝劇でデビュー戦を飾りました。デビュー戦での上がり3ハロン32秒0という記録は、2歳
新馬戦における歴代最速タイという驚異的なものでした。
続く2戦目では、
新潟2歳ステークスに挑みます。
藤岡康太騎手を迎え、単勝2.1倍の1番人気に支持されました。レースでは中団からレースを進め、最後の直線で外に持ち出すと、2着のペールエールを2分の1馬身差で差し切り、デビュー2連勝で重賞初制覇という快挙を達成しました。この勝利は、父である
ハーツクライにとってJRA全10場重賞制覇という偉業達成をも意味するものでした。レース後に「(勝ち馬が)強すぎるよ」と苦笑いを浮かべたのは、2着馬ペールエールに騎乗していた
ミルコ・デムーロ騎手でした。
その後、休養を挟んで臨んだ
阪神ジュベナイルフィリーズでは2番人気に推されましたが、レシステンシアに敗れ4着に終わります。
3歳となった
2020年、3歳初戦の
チューリップ賞では6着に終わると、クラシック路線では
桜花賞16着、
優駿牝馬12着と結果を残すことができませんでした。秋シーズンも
ローズステークスで最下位、信越ステークスでも二桁着順と苦戦が続きました。そして、10月22日付けでJRA競走馬登録を抹消され、現役を引退することになります。
引退後はダーレー・ジャパン・ファームに戻り、繁殖
牝馬としての生活が始まりました。
ウーマンズハートの母であるレディオブパーシャは中央競馬で2勝を挙げています。また、その血統背景には
香港スプリントを制した
ラッキーナイン、重賞で2着3回の好成績を残したサドンストーム、
函館スプリントステークスを制したティーハーフといった活躍馬が名を連ねています。
短いながらも鮮烈な輝きを残したウーマンズハート。その気性とスピード、そして才能は、多くの競馬ファンに記憶されています。 彼女の血を受け継いだ仔馬たちの活躍にも期待が高まります。