エア・カナダ646便着陸失敗事故

エア・カナダ646便着陸失敗事故

この事故は1997年12月16日に発生したもので、エア・カナダ646便（ボンバルディア CRJ-100ER）がトロント・ピアソン国際空港からフレデリクトン国際空港へ向かう途中、着陸失敗の結果、滑走路に墜落しました。乗員と乗客42人は奇跡的に全員無事でした。

事故の経緯

646便は、21時24分にトロント・ピアソン国際空港を離陸しました。副操縦士が操縦を担当しており、フレデリクトン国際空港周辺は1マイルの霧が発生していて、視界が非常に悪い状況でした。滑走路15の視距離は約1,200フィート（370m）でした。この飛行の最終進入中は、特に異常もなく順調に進んでいました。

到着直前、機長は決心高度とされる200フィート（61m）において滑走路を確認したため、着陸する判断を下しました。しかし、その時副操縦士が自動操縦を解除し、高度165フィート（50m）から手動操縦を行った結果、機体は期待通りのグライドパスを外れてしまいました。機長は副操縦士に指示を出し、降下を迅速に行うよう言いましたが、機体の位置は依然としてグライドパスより高いままでした。

その後、機長が滑走路の長さに不安を感じたため、着陸復航を指示しました。副操縦士は推力を上げましたが、機体は失速の危機に陥り、スティックシェイカーが作動しました。機体は右に55度傾斜し、右翼が滑走路に接触しました。この際、ノーズギアから地面に接触し、機体は破損しました。最終的に機体は滑走路を2,100フィート（640m）滑走した後、丘に衝突して停止しました。この事故では幸いにも火災は発生しませんでしたが、機体の前方の座席が大きく破損しました。

事故調査

カナダ交通安全委員会は、この事故のいくつかの原因を特定しました。まず、副操縦士の飛行経験が少なく、特に悪天候時の着陸が難しかった可能性があります。また、主翼に着氷があり、それが原因で通常よりも小さい迎え角で失速する状態にありました。スティックシェイカーは作動したものの、着氷の影響で失速への時間が短縮されていたことも一因です。

さらに、天候や機体状態を考慮すると、安全に着陸復航を行うための十分な高度が確保されていなかったことが確認されました。加えて乗員には避難や救助に関する十分な訓練が行き届いておらず、失速回復の手順には天候の状況を考慮した内容が含まれていませんでした。最後に、アイドル状態からエンジンが推力を回復するまでの時間に関する手順が不足していたという指摘もありました。

この事故は、航空業界における安全性の重要性を再確認させるものであり、将来の事故防止につながる教訓となりました。

もう一度検索