エイシンバーリン

エイシンバーリン：疾風の申し子、短距離女王の軌跡

エイシンバーリン（1992年3月11日 - 2017年4月19日）は、日本競馬史にその名を刻んだ偉大な競走馬です。アメリカ生まれの彼女は、1994年、3歳春に日本へ渡来。華々しいデビューを飾り、将来を嘱望されました。

デビュー戦は圧巻でした。阪神競馬場の新馬戦（芝1400メートル）で、2着に1.7秒差をつける圧勝。当時の3歳コースレコードとなる1分21秒4を記録し、類まれな才能を証明しました。しかし、続く重賞競走では、ヤマニンパラダイス、スターライトマリー、プライムステージといった強豪の前に屈し、勝利を掴むことができませんでした。

転機が訪れたのは4歳時。クイーンカップでスターライトマリー、プライムステージらを破り、念願の重賞初制覇を達成します。続くアーリントンカップも制し、勢いに乗るエイシンバーリンは、今後の活躍が期待されました。しかし、アーリントンカップ後に骨膜炎を発症。これは若駒に多く見られる一時的な症状ですが、エイシンバーリンの場合は慢性化してしまい、長期間の休養を余儀なくされてしまいます。

1年7ヶ月の休養期間を経て、5歳秋に復帰したエイシンバーリン。復帰当初は思うような結果を残せませんでしたが、キャピタルステークスで復活勝利を挙げると、続く京都牝馬特別では、かつて幾度となく対戦し、惜敗してきたヤマニンパラダイスに雪辱を果たしました。

そして、彼女の真価を示したのがシルクロードステークスでした。当時の一線級のスプリンターがひしめく中、エイシンバーリンは驚異的なハイペースで逃げを打ちます。最後の3ハロンも33秒4という速さでまとめ上げ、芝1200メートルで1分7秒を切る、1分6秒9という日本レコードタイムで圧勝。日本競馬史上初の快挙を達成しました。

この勝利が、彼女の最後の勝利となりましたが、その後もGI高松宮杯で2着に粘るなど、短距離戦線で活躍を続けました。中京競馬場との相性も抜群で、多くの重賞競走で好成績を収めています。6歳冬のスプリンターズステークスを最後に引退し、繁殖牝馬として第二の馬生を始めました。

繁殖牝馬としては、リーディング上位の種牡馬との交配が続けられましたが、残念ながら重賞勝ち馬を輩出することはできませんでした。ファンからは、同じエイシン名義のエイシンワシントンとの交配を望む声も上がっており、実際に交配が行われましたが、産駒は競走馬となることはありませんでした。

2013年には繁殖を引退。その後はフォスターホースとして余生を送っていましたが、2016年末ごろからクッシング病からくる蹄葉炎を発症。手術もされましたが、回復の見込みが立たず、2017年4月19日に安楽死処分となりました。

エイシンバーリンは、その圧倒的なスピードと、決して諦めない闘志で、多くのファンを魅了しました。短距離界の女王として、そして「疾風の申し子」として、彼女の伝説は永遠に語り継がれていくでしょう。彼女の血統背景には、カナダで6勝を挙げた母Blade of Luckや、米英重賞5勝のBel Bolideといった名馬も名を連ねており、その血統の素晴らしさも彼女の活躍を支えた一因と言えるでしょう。

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