エイジュ

エイジュ（栄樹、ブライヤ）

エイジュ（栄樹）、またはブライヤ（英: brier, briar）、学名エリカ・アルボレア（Erica arborea L.）は、ツツジ科エリカ属に属する常緑の低木です。この植物は、南ヨーロッパから南西アジア、地中海沿岸地域、さらには東アフリカにかけて広く分布しています。エイジュは特に3月から7月の間に花を咲かせ、温室でも栽培されることが多いです。スコットランドなどにはヒースに似た白い花を咲かせるため、ホワイトヒース（英: White heath）という別名で呼ばれることもあります。

分布

エイジュは、アルジェリア、イタリア、ギリシャ（本土およびクレタ）、フランス、ポルトガルなど、地中海沿岸の多くの国に生育しています。また、アフリカ大陸ではケニアやエチオピアのように、標高の高い地域でも見ることができます。特にケニアでは、文明の成立以前から自生しており、高山の森林ではコソノキの林よりも上の地点で育成され、共に繁茂していることが知られています。エイジュ属の植物は、主に南アフリカ地域に約600種があり、これらの一部は東アフリカの地方にも広がっています。ヨーロッパに生息するエイジュは、地中海とコーカサス地域にまたがり、生態系のつながりを示しています。

特徴

エイジュは、低木から高木にかけて成長し、その高さは0.5メートルから最大7.5メートルに達します。葉は傾上し、長さは2から6.5ミリメートルほどで、細長い形状を持っています。花は通常4つの部位からなり、白または桃色の色合いをしています。花の大きさは1.5から3ミリメートル程度で、苞が小花の下部に位置しているのが特徴です。果実は赤い蒴果で、長さは3ミリメートル以下で、多くの小さな種子を包んでいます。

利用

エイジュは、特にその木材が持つ難燃性と軽さから、タバコのパイプ製作において非常に人気があります。エイジュの根は堅く、軽量であるため、高品質なパイプの材料として重宝されています。一般的にエイジュの根から作られたパイプは耐久性が高く、風合いも良いため、「パイプの王様」とも称されることがあります。エチオピアなどで使用される際には、乾燥した枝を柵や薪、木炭作りに利用されるほか、飼料やミツバチの餌としても役立てられています。

備考

エイジュはまた、英語でブライアー（brier）やブライヤ（briar）とも呼ばれていますが、これは野生のバラやイバラの茂みとも関係があり、それと混同されることがあります。多様な言語において呼称が異なるのも興味深い点です。エイジュは、美しい花と香りを持つ一方で、実用的な特性も備えた植物として、古くから様々な文化で親しまれています。

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