エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ

エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ：テンプテーションズの不朽の名曲

1966年、アメリカ合衆国のR&Bグループ、テンプテーションズによって発表された「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」(Ain't Too Proud to Beg)は、グループの代表曲の一つであり、時代を超えて愛され続ける名曲です。

この楽曲は、ノーマン・ホイットフィールドと、ソングライターチームとして知られるホーランド＝ドジャー＝ホーランドの一員、エディ・ホーランド・ジュニアによって共同で制作されました。テンプテーションズのアルバム『Gettin' Ready』に収録されており、同アルバムからのシングルカットとしてリリースされました。アルバムからの先行シングルが「ゲット・レディ」だったため、「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」は2枚目のシングルという位置づけとなりました。

リードボーカルはデヴィッド・ラフィンが担当し、そのソウルフルな歌声は聴く者の心を掴みました。アメリカではBillboard Hot 100で13位を記録するなど商業的にも大きな成功を収め、特にR&Bシングルチャートでは8週連続で1位を獲得する快挙を達成しました。イギリスでもチャート入りを果たし、テンプテーションズにとって初のトップ40入りという快挙を成し遂げました。

この曲の大ヒットは、ノーマン・ホイットフィールドのキャリアにとっても大きな転機となりました。この成功を機に、彼はテンプテーションズの楽曲制作に数多く関わるようになり、グループの黄金期を支える重要な存在となりました。

「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」は、音楽シーンにとどまらず、映画『再会の時』(1983年)のサウンドトラックにも使用されるなど、幅広いメディアで活用されました。この映画では、テンプテーションズのもう一つの代表曲「マイ・ガール」と共に使用され、劇中に流れることで、映画の雰囲気をより一層盛り上げました。

多彩なカバー、そしてその影響力

「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」は、多くのアーティストによってカバーされており、その楽曲の持つ魅力と普遍性を物語っています。

中でも有名なカバーとしては、ローリング・ストーンズによるバージョンが挙げられます。彼らは1974年発表のアルバム『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』にこの曲を収録しました。レコーディングには、ビリー・プレストンとエド・リーチといった外部ミュージシャンも参加しており、ストーンズならではのロックテイストが加えられたカバーとなっています。アメリカでは、このアルバムからの2枚目のシングルとしてもリリースされ、再びこの曲が注目を集めることとなりました。

イギリスの歌手リック・アストリーも、1988年のアルバム『ホールド・ミー・イン・ユア・アームズ』でこの曲をカバーしています。彼のバージョンは、アメリカや日本でもシングルとしてリリースされ、Billboard Hot 100で89位、アダルト・コンテンポラリー・チャートで16位を記録しました。この曲は、人気プロデューサーチームであるストック・エイトキン・ウォーターマンがプロデュースした最後のシングルとしても知られています。

他にも、ウィリー・ボボ、ダリル・ホール＆ジョン・オーツ、ベン・ハーパーなど、多くのアーティストが「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」をカバーしており、それぞれのアーティストの色を付け加えたアレンジで、この曲が時代を超えて愛され続けていることを示しています。ベン・ハーパーのバージョンは、映画『永遠のモータウン』(2002年)で使用され、ファンク・ブラザーズとの共演という形で披露されました。

このように、「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」は、テンプテーションズにとっても、そして音楽史にとっても重要な楽曲であり、その影響力は今もなお多くのアーティストに受け継がれています。時代を超えて愛され続けるこの曲は、これからも多くの人々の心を魅了し続けることでしょう。

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