エウリュディケ2世

エウリュディケ2世の生涯

エウリュディケ2世（紀元前317年没）は、古代ギリシアのマケドニアの王妃で、アミュンタス4世とその妻キュナネの娘として生まれました。彼女の育ちには、母親からの影響が多く、軍事戦略や戦術の重要性を学び、勇敢で賢明な女性としての資質を身に着けました。元々「アデア」と名乗っていたエウリュディケは、後にエウリュディケという名前に改名された時期については詳細が不明です。

エウリュディケは、紀元前323年にアレクサンドロス大王が亡くなると、マケドニアの政局において重要な役割を果たしました。彼女は母キュナネと共にアジアに渡り、王位についての激しい争いの中で、彼女自身も重要な政治的存在として浮上しました。彼女の母がかつて軍の実権を握っていた背景もあり、エウリュディケには自らの意志を表明する機会が訪れました。

彼女はピリッポス3世と結婚しましたが、夫は精神的な障害を抱えていたため、政治において彼女が主体的に行動する余地が生まれました。紀元前321年にはペルディッカスという摂政が政敵に襲われ殺害された後、トリパラディソスにて新体制を巡る会議が開かれ、エウリュディケは新摂政の就任に自らの権利の承認を求めました。実力の伴わない新摂政たちが辞任したことに伴い、アンティパトロスという重臣が次期摂政として選ばれることとなり、エウリュディケの権力獲得の試みは失敗に終わります。

その後彼女は、夫と共にマケドニアに帰国し、歴史はエウリュディケを揺るがします。紀元前319年にアンティパトロスが死去すると、後継者を巡る争いが再燃しました。エウリュディケは、ポリュペルコンとオリュンピアスの母子に対抗し、カッサンドロスと手を組むことで権力を取り戻そうとしました。不利な情勢の中で、彼女はポリュペルコンへ軍の引き渡しを命じる書簡を遺し、紀元前317年にはオリュンピアスと激しい衝突をも辞さない姿勢を見せました。

オリュンピアスは戦局を有利に運び、彼女の帰還によりエウリュディケは支持を失い、ついには捕らえられました。エウリュディケは囚われの身となり、オリュンピアスによって非情な命令が下されました。彼女は壮絶な運命を選び、夫の遺体のそばで命を絶ちました。その後、彼らのためにカッサンドロスが葬儀を行い、アイガイの王墓に埋葬されることとなりました。

エウリュディケ2世は、単なる一王妃ではなく、古代マケドニアの権力闘争の中で、強い意志を持った女性の象徴として記憶されています。彼女の物語は、勇敢さ、策略、そして悲劇に満ちた人間ドラマを描き出しています。

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