アンティパトロス

アンティパトロスの生涯と業績

アンティパトロス（紀元前397年 - 紀元前319年）は、古代マケドニアの軍人であり、大王アレクサンドロスの父、ピリッポス2世に仕えました。彼はギリシャとの外交や行政を担当し、国を守るために重要な役割を果たしました。

ピリッポス2世の下での活躍

アンティパトロスは、ピリッポス2世がトラキア、テッサリアに遠征している間、国の運営を任されました。彼は紀元前342年には、アンピクティオン同盟への加盟のために王の代理としてデルポイに赴くなど、外交的な任務にも従事しました。また、紀元前338年のカイロネイアの戦いでは、マケドニアの勝利後にアテナイへの大使として派遣され、講和交渉を行い、戦死者の遺体の返還に尽力しました。

アレクサンドロス3世の統治

紀元前336年、ピリッポスの暗殺により、アレクサンドロス3世が王位に就くと、アンティパトロスは若き王を支えました。アレクサンドロスの東方遠征中、彼はマケドニアを守り、ギリシャの反乱を抑えるために奔走しました。特に紀元前332年にはトラキアで反乱を起こしたメムノンを許し、紀元前331年にはスパルタ王アギス3世の反乱を鎮圧しました。

アンティパトロスは、アレクサンドロスの母オリュンピアスとの関係が次第に緊張していく様子も見せています。彼はお互いに中傷し合う手紙をアレクサンドロスに送るなど、両者の関係は悪化していきました。

アレクサンドロスの死後の権力闘争

紀元前323年、アレクサンドロスが亡くなると、アンティパトロスは帝国の摂政としての地位を得ました。彼はアレクサンドロスの後継者たちの後見人となり、ギリシャを制圧する権限を認められます。しかし、紀元前322年のラミア戦争では、アテナイやテッサリアの反乱軍に直面し、初期の戦闘で敗北を喫するものの、最終的には反乱を鎮めることに成功しました。

その後、彼はペルディッカスとの対立を深め、一連の権力争いに巻き込まれていきます。アンティパトロスは、クラテロスやプトレマイオスと共に反ペルディッカス同盟を組織し、戦争へと突入しました。紀元前321年、ペルディッカスが暗殺された後には、トリパラディソスの軍会で新たな帝国の地位と領土の分配を行い、自ら摂政として指導する立場を確立しました。

最後の日々と遺産

紀元前320年、アンティパトロスは病にかかり、地位をポリュペルコンに譲りますが、その人事は直後の混乱を引き起こします。カッサンドロスは自身の権利を主張し、アンティゴノスと組んで新たな戦争の火種を生むことになりました。

最終的にアンティパトロスは病に倒れ、死を迎えます。彼は軍事指導者としての重要な役割を果たし、マケドニアの歴史に大きな足跡を残しました。彼の統治と外交の能力、さらには権力闘争における策略は、古代マケドニアの歴史の中で重要な教訓を提供するものです。

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