エクアドル人

エクアドルの人口構成は、多様なルーツを持つ人々によって形成されています。1万5千年以上前にエクアドルに到達した先住民、15世紀以降にやってきたヨーロッパ人（主にスペイン人）、そして同じく15世紀以降に連れてこられたサハラ砂漠以南のアフリカ人を祖先に持つ人々が共存しています。これらのグループ間の混血によって、さらに多様な民族構成が生まれました。

最も多い民族グループは、ヨーロッパ人とアメリカ先住民の混血であるメスティーソで、人口の約71.9%を占めています。白人は約6.1%で、その多くは純粋なヨーロッパ系です。これらの白人の中には、植民地時代にスペインから来たクリオーリョと呼ばれる人々も含まれます。白人には、イタリア系、ドイツ系、フランス系など、他のヨーロッパ諸国出身の人々もいます。

エクアドルで3番目に多いのはアメリカ先住民で、人口の約7%を占めています。残りの多くは、アフリカ系エクアドル人、ムラート（ヨーロッパ人とアフリカ人の混血）、サンボ（先住民とアフリカ人の混血）などで構成されています。

人口統計

エクアドルでは、INEC（国立統計・国勢調査研究所）が10年ごとに国勢調査を実施しています。2010年の国勢調査では、特に地方や僻地の人口を正確に把握することに重点が置かれました。国連のデータによると、2015年の総人口は約1614万4千人で、1950年の約347万人と比較すると大幅な増加が見られます。2015年のデータでは、15歳以下の子供が29.0%、15歳から65歳までが63.4%、65歳以上が6.7%となっています。

2013年の推定値では、インド系の遊牧民は含まれていませんが、人口構成が示されています。また、エクアドルの出生率と死亡率に関するデータも存在します。

CIA World Factbookによると、2011年7月時点での人口は約1500万7千人でした。年齢の中央値は男女合計で25.7歳で、男性が25歳、女性が26.3歳となっています。人口増加率は1.443%で、純移動率は0.52人/1000人（2003年推定値）から0.81人/1000人（2009年推定値）へと増加しています。男女比は、出生時では女性1人あたり男性1.05人ですが、年齢が上がるにつれて男性の割合が減少していきます。

HIV/AIDSの罹患率は成人で0.3%（2007年推定値）で、患者数は約2万6千人、死亡者数は約1400人（2007年推定値）です。

エクアドル人の宗教は、カトリックが約95%と最も多く、プロテスタントが約4%、ユダヤ教、東方正教会、イスラム教、仏教、アニミズム、無神論者、不可知論者などが少数派を占めています。公用語はスペイン語で、アメリカ先住民の言語（主にケチュア語）も話されています。

識字率は全人口で約91%で、男性が92.3%、女性が89.7%となっています（2003年推定値）。

地理と人口分布

エクアドルの人口は、かつてはマラリアや黄熱病が蔓延していた海岸地域を避け、シエラ（山岳）地域に集中していましたが、現在は海岸地域や都市部への移住が進んでいます。オリエンテ地域（アマゾン川流域）は、国土の約半分を占めていますが、人口は全体の約3%にとどまっています。

民族と文化

エクアドルの民族グループは、メスティーソ、白人、アフリカ系エクアドル人、アメリカ先住民、モントゥーノの5つに大別されます。メスティーソが人口の大部分を占め、エクアドル人のアイデンティティの中核をなしています。1980年代には、インディアンとメスティーソがそれぞれ人口の約40%を占めていましたが、社会の変化とともに民族構成も変化しています。

民族グループ間には、歴史的な階層制度が存在し、植民地時代にはスペイン人が最上位に位置していました。その後、クリオーリョ、メスティーソ、インディアンというように階層が形成され、社会的な関係や慣習に影響を与えました。民族の特徴は、身体的特徴、衣装、言語、コミュニティ、自己表現など、多岐にわたります。

1950年代には、民族の地理的分布は比較的明確でしたが、その後の人口移動によって変化しました。白人は主に大都市に、メスティーソは小さな町や地方に、インディアンはシエラ地域の農村部に、アフリカ系エクアドル人はエスメラルダス地域に多く住んでいました。

アフリカ系エクアドル人

アフリカ系エクアドル人は、奴隷として連れてこられたアフリカ人の子孫で、人口の約3～5%を占めています。彼らの文化は、特にエクアドル北西部のエスメラルダス地域で見られます。

先住民

シエラ地域のインディアンは、アンデス山脈の高地で生活しています。彼らの多くは、スペインの侵略以降、ヒスパニック文化の影響を受けてきましたが、独自の文化や言語を保持しています。彼らは歴史的に差別を受けてきましたが、近年では自分たちの権利を主張する動きが活発化しています。

エクアドル東部のインディアンは、アマゾン川流域に住んでおり、他の先住民と比べて白人との接触が少なかったため、より独自の文化を保持しています。彼らの生活は、1950年代以降、政府による道路建設や石油開発などの影響を受けて変化しました。エクアドル東部には、キチュア語を話す人々や、シワール族、アチュアル族など、様々な先住民族グループが存在します。

文化

エクアドルの文化は、主にスペインのメスティーソの文化に影響を受けていますが、アメリカ先住民やアフリカ人の要素も含まれています。特に、アマゾン川流域の先住民コミュニティは、独自の文化を実践しています。スペイン語が最も話されている言語ですが、ケチュア語などのアメリカ先住民の言語も使用されています。エクアドルの宗教は、カトリックが主流ですが、先住民の思想と融合した信仰も見られます。

エクアドルの音楽には、パシーヨ、アルバソ、パサカジェ、フォックス・インカイコなどの伝統的な音楽があります。料理は、高地と海岸地域で異なり、高地では豚肉、鶏肉、牛肉、クイ（モルモット）などが、海岸地域では魚介類がよく食べられます。

エクアドルの文学は、植民地時代にはスペイン黄金世紀の影響を受けましたが、後に独自の文学が発展しました。ホアキン・コラウアソやフアン・バウティスタ・アギーレなどの初期の作家から、ホルヘ・イカサなどの現代作家まで、幅広い作品が発表されています。

エクアドルの芸術は、16世紀から18世紀にかけて発展したキト派の手法が有名です。エドゥアルド・キングマンやオズワルド・グアヤサミンなどの画家が活躍しています。

エクアドルで最も人気のあるスポーツはサッカーで、バルセロナ、エメレク、LDUキトなどのチームが人気です。エクアドル代表は、2002年と2006年のFIFAワールドカップに出場しました。この他にも、テニス、バスケットボール、バレーボールなども人気があります。

移民の傾向

1990年代の経済危機により、多くエクアドル人が国外に移住しました。スペイン、イタリア、イギリス、アメリカ合衆国などが主な移住先です。また、エクアドルには、仕事の機会や引退後の生活を求めて、アメリカ人やヨーロッパ人が移住してきています。コロンビアからの難民や保護を求める人々も多く、エクアドル政府や国際機関が支援しています。

アラブ系やヨーロッパ系のコミュニティも存在し、それぞれの文化を保持しています。エクアドルには、ドイツ学校やフランス学校、ユダヤ教の学校など、各文化圏の学校や文化施設があり、多様な文化が共存しています。また、少数ではありますが、アジア系エクアドル人のコミュニティも存在します。

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