エコキップ

エコキップ

概要

「エコキップ」とは、北海道札幌市において、かつて札幌市交通局が特定の期間に限り発行していた一日乗車券です。この乗車券は、環境負荷の低減を目的とし、市民に自家用車の利用を控え、公共交通機関の積極的な利用を促すために導入されました。特に、毎月定められた特定の2日間、具体的には毎月5日と、特に「さわやかノーカーデー」として位置づけられていた毎月20日に限定して発売されていました。

利用可能な交通機関

エコキップを所持していることで、以下の札幌市内の主要な公共交通機関が一日乗り降り自由となりました。

札幌市営地下鉄：南北線、東西線、東豊線の全線が利用可能でした。
札幌市電：循環線を含む全線が利用可能でした。
路線バス：札幌市内の複数の主要なバス事業者、すなわち北海道中央バス、ジェイ・アール北海道バス、じょうてつバスの特定路線が利用対象でした。ただし、バスの利用にはいくつかの制約がありました。利用可能なのは、かつて札幌市営バスが運行していた路線、またはそれに準じる特定の区間を走る便に限られ、運賃が乗車距離に応じて変動する「対キロ制運賃」が適用される区間は対象外とされていました。これにより、札幌市中心部やその周辺の路線を中心に利用が限定される形でした。

料金

エコキップが廃止される直前の料金設定は以下の通りでした。

大人料金：700円
子供料金：350円

これは一日乗車券としての価格であり、利用対象となる複数の交通機関を乗り継ぐ場合などに経済的なメリットがありました。

特典

エコキップの利用促進を図るため、乗車券を協賛している市内の様々な事業所や施設で提示すると、割引や優待などの特典を受けることができました。これにより、公共交通を利用して市内の各所を巡る際に、交通費以外の面でもお得になる仕組みが提供されていました。

廃止

エコキップは、その目的と役割を終え、2010年11月20日をもって廃止されました。発売最終日も、さわやかノーカーデーである20日でした。廃止後、未使用のエコキップについては、一定期間に限り払戻しの対応が行われました。具体的には、2011年3月31日まで、札幌市交通局の窓口等で払戻しを受け付ける期間が設けられました。

エコキップの廃止後、札幌市交通局や関連する交通事業者では、他の一日乗車券や、ICカード乗車券など、別の乗車券サービスが利用されています。

関連事項

札幌市交通局：エコキップの発行主体であり、札幌市営地下鉄・市電を運営する公営交通事業者。
共通ウィズユーカード：札幌市交通局などが発行していた共通利用可能な磁気カード乗車券（既に発売終了）。エコキップとは利用形態が異なります。
なごや環境きっぷ / ドニチエコきっぷ：名古屋市交通局が発行している、エコキップと同様に環境対策や特定の日の公共交通利用促進を目的とした一日乗車券。現在は「ドニチエコきっぷ」として土日祝日・毎月8日に利用できる乗車券が発行されています。

エコキップは、札幌市における環境配慮型の公共交通利用促進策の一つとして導入され、一定期間その役割を果たしましたが、制度の改変や他の乗車券サービスの普及に伴い、その歴史に幕を閉じました。

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