エセル・マーマン

エセル・マーマンについて

エセル・マーマン（Ethel Merman）は、アメリカの象徴的な歌手であり女優で、1908年1月16日にニューヨーク市クイーンズ区アストリアで生まれました。彼女は「ブロードウェイの女王」と呼ばれ、その力強いボーカルと印象的な表現力で知られています。本名はEthel Agnes Zimmermannで、高校卒業後にタイピストとして働き始めましたが、彼女の真の才能はナイトクラブのステージで開花しました。

1930年にボードビル劇場でのステージを経て、ブロードウェイデビューを飾ります。レッスンを受けたことがなくとも、彼女の歌声と正確な発音が観客を魅了し、瞬く間にその名声を高めました。特に「エニシング・ゴーズ」や「アニーよ銃をとれ」、「ジプシー」、「ハロー・ドーリー!」などの作品での彼女の演技は、舞台の重要な一部となりました。中でも「アニーよ銃をとれ」でアーヴィング・バーリンが作った「ショウほど素敵な商売はない」は彼女の代表的な楽曲として広く認知されています。

1945年、マーマンは第二子を出産するため入院中に、ミュージカルの提案を受けます。兄と一緒に脚本を執筆したドリー・フィールズが訪ねてきたのです。しかし、プロデューサーのもとを訪れる際に作曲家のジェローム・カーンが脳内出血で亡くなり、その後遺作として1946年5月に「アニーよ銃をとれ」が開幕しました。この作品は3年間で1,147回の驚くべき上演回数を誇り、マーマンはわずか2回の病欠以外は欠かさず出演しました。彼女は舞台での存在感で観客を惹きつけ続けました。

1950年には舞台「Call Me Madam」でトニー賞のミュージカル主演女優賞を受賞し、その後も多くの舞台に立ちました。彼女のキャリアは幅広く、舞台作品だけでなく映画にも出演。『私をマダムと呼んで頂戴』や『ショウほど素敵な商売はない』などの映画も成功を収めました。

また、マーマンは数度の結婚を経験し、俳優のアーネスト・ボーグナインとは約1ヶ月で離婚しました。彼女の私生活もまた、彼女の公私にわたる多様性の一端を示しています。

1980年には「フライングハイ」に出演し、コメディ界にもその名を刻みましたが、1982年が彼女の最後の舞台となりました。以降は脳腫瘍の手術を受けるも、1984年2月15日に死去しました。彼女の功績は今もなお多くの人々に影響を与え続け、ブロードウェイの歴史に刻まれています。

主な出演作

舞台

• - 1930年: ガールクレイジー (Girl Crazy)
• - 1934年: エニシング・ゴーズ (Anything Goes)
• - 1946年: アニーよ銃をとれ (Annie Get Your Gun)
• - 1959年: ジプシー (Gypsy)
• - 1977年: トゥゲザー・オン・ブロードウェイ (Together on Broadway)

映画

• - 1934年: 『百万弗小僧』(Kid Millions)
• - 1938年: 『世紀の楽団』(Alexander's Ragtime Band)
• - 1943年: 『ステージドア・キャンティーン』（日本未公開作品）
• - 1953年: 『私をマダムと呼んで頂戴』(Call Me Madam)
• - 1954年: 『ショウほど素敵な商売はない』(There's No Business Like Show Business)
• - 1963年: 『おかしなおかしなおかしな世界』(It's a Mad Mad Mad Mad World)
• - 1965年: 『恋するパリジェンヌ』(The Art of Love)
• - 1980年: 『フライングハイ』(Airplane!)

エセル・マーマンは、そのユニークなスタイルと舞台でのエネルギッシュなパフォーマンスで、今なお多くの人々の心に残るアーティストです。

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