エドムンド・ド・ラ・ポール (第3代サフォーク公)

エドムンド・ド・ラ・ポール：ヨーク朝末裔の悲劇的な生涯

エドムンド・ド・ラ・ポール第3代サフォーク公は、イングランド王エドワード4世とリチャード3世の血を引くヨーク朝王家の血族として、1471年または1472年に誕生しました。父は第2代サフォーク公ジョン・ド・ラ・ポール、母はヨーク公リチャード・プランタジネットの娘エリザベスです。兄には、後にリンカーン伯となるジョン・ド・ラ・ポールがいました。

エドムンドの運命は、兄の反乱によって大きく変わります。兄はランバート・シムネルを擁立し、ヘンリー7世に対抗する反乱を起こしましたが、1487年のストーク・フィールドの戦いで敗北し、戦死しました。この結果、エドムンドは兄の後継者として、サフォーク公位を継承することになったのです。しかし、兄の反乱の余波は大きく、エドムンドは家領の大半を没収され、1493年にはヘンリー7世との妥協により、爵位を公爵から伯爵に降格させられる屈辱を味わいました。

その後、エドムンドはヘンリー7世への忠誠を誓いますが、その忠誠は必ずしも報われませんでした。1498年の争いをきっかけに殺人罪で告訴され、1499年にはイングランドからフランドルへと亡命します。ヘンリー7世の使者によって説得され、イングランドに戻りますが、ヘンリー7世によるイースト・アングリアへの介入や、他の貴族への重用に対し不満を募らせ、1501年には再び大陸へ逃亡しました。

亡命中のエドムンドは、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の庇護を受け、イングランド王位奪取の陰謀を企てます。弟のリチャードや他の亡命者たちとともに、アーヘンで反乱計画を練りましたが、ヘンリー7世はスパイや外交手段を駆使してエドムンドの活動を阻止しようとしました。1501年と1502年には、エドムンドを支援する陰謀がイングランドとカレーで発覚し、多くの関係者が処刑されています。

ヘンリー7世は、マクシミリアン1世を買収し、エドムンドを捕らえることに成功します。1505年にはブルゴーニュ公フィリップ4世の支配下にあったナミュールの城で軟禁状態にあったエドムンドは、1506年にブルゴーニュ公がイングランドに難破した際にヘンリー7世に身柄を引き渡され、ロンドン塔に投獄されました。そして1513年、7年間の投獄生活の末、エドムンドは処刑されました。サフォーク伯爵位は消滅し、ヨーク朝の血筋は断たれたかに見えました。

一方、大陸に残っていた弟のリチャードは、フランスやハンガリーなどを転々とし、テューダー朝に抵抗を続けましたが、1525年のパヴィアの戦いで戦死しました。エドムンドの爵位は、1514年にヘンリー8世の寵臣チャールズ・ブランドンに与えられ、ブランドン家によって復活することになります。エドムンド・ド・ラ・ポールの生涯は、ヨーク朝とテューダー朝の権力闘争の激しさ、そして運命の皮肉さを象徴する物語として、歴史に刻まれています。

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