エドモントニア

エドモントニア（学名：Edmontonia）は、中生代白亜紀後期、現在の北米大陸に生息していた曲竜類に属する草食恐竜です。属名は、化石が発見されたカナダの地名「エドモントン」に由来し、「エドモントン産の」という意味を持ちます。

全長は約6メートルに達し、ずんぐりとした体型が特徴です。頭部は比較的幅が狭く、鼻面もそれほど広くありません。首は短く、胴体は太い樽のような形状をしています。四肢は太くて短く、足先は幅広くなっています。これらの特徴から、エドモントニアは緩慢な四足歩行の草食恐竜であったと考えられています。

エドモントニアの最大の特徴は、その全身を覆う装甲です。背中と尾には、骨質の板（骨板）とスパイクが多数並んでおり、捕食者からの攻撃に対する防御の役割を果たしていました。特に、肩には一対の大きなスパイクがあり、これは捕食者を威嚇したり、実際に攻撃したりするのに用いられたと考えられています。また、同種間での儀礼的な闘争に使用された可能性も指摘されています。

しかし、同じ曲竜類の仲間であるアンキロサウルスのように、尾に棍棒状の構造を持っていなかったため、防御面での弱点もありました。もし捕食者にひっくり返されてしまうと、装甲に覆われていない腹部を晒してしまうことになります。そのため、エドモントニアは危険が迫ると地面に伏せて、捕食者の攻撃をやり過ごしたのではないかという説があります。

エドモントニアの化石は、カナダのアルバータ州やサスカチュワン州、アメリカ合衆国のモンタナ州などで発見されています。これらの地域は、白亜紀後期には温暖な気候で、植物が豊富に生い茂る環境だったと考えられています。エドモントニアは、このような環境で多様な植物を食料としていたのでしょう。

エドモントニアの生態については、まだ解明されていない部分も多くあります。しかし、その独特な形態や装甲の構造から、当時の生態系における彼らの役割を垣間見ることができます。今後の研究によって、エドモントニアの知られざる生態が明らかになることが期待されます。

参考文献
ヘーゼル・リチャードソン、デイビッド・ノーマン（監修）『恐竜博物図鑑』出田興生（訳）、新樹社〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005年、132 - 133頁頁。ISBN 4-7875-8534-7。

関連項目
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