エドワード・ジェンナー

エドワード・ジェンナー

エドワード・ジェンナー（1749年5月17日 - 1823年1月26日）は、イギリスの医学者であり、牛痘による接種法を開発したことで有名です。彼は天然痘予防の確実性と安全性を高めるための研究を重ね、近代免疫学の父とも称されています。

経歴

ジェンナーは当初、田舎の開業医として活動しており、ジョン・ハンターの指導のもとで医学を学びました。当時、天然痘は非常に流行しており、その予防法としてオスマン帝国のメアリー・モンタギュー夫人が行った人痘接種法が広く知られていましたが、この方法には死亡率が約2パーセントもあり、危険を伴っていました。

天然痘に対する予防接種を行ったジェンナーは、牛痘に関する農民の言い伝えに着目します。これによれば、牛と接触した人間は牛痘にかかり、その後天然痘に罹患しないというものでした。牛痘は天然痘に比べて死亡率が低く、より安全な病気とされていました。

1778年から1779年にかけて行った研究を経て、1796年5月14日、彼は使用人の8歳の子供、ジェームズ・フィップスに牛痘を接種しました。その後、フィップスに天然痘を接種しましたが、彼は病にかかることはありませんでした。この実験の成功は、牛痘による天然痘予防法が効果的であることを示すものでした。

研究成果の発表と影響

1798年、ジェンナーは彼の発見を公に発表します。この種痘法は急速に欧州全土に広まり、多くの人々の命を救ったことから、彼はその功績により1802年にはイギリス議会から賞金を受け取りました。しかし、当初は医学界からの支持が薄く、一部の村では牛痘接種によって「牛になる」という迷信も存在しました。それでも、天然痘の大流行に直面したことで、種痘法の重要性が広く認識され、徐々に受け入れられるようになりました。

その後、ジェンナーの発見された種痘法を基にした天然痘ワクチンはさらなる改良が加えられ、世界中で使用されることになります。彼は1798年に王立協会のフェローに選出され、近代免疫学の基礎を築いた人物とされています。1980年には世界で初めて天然痘が根絶されたことが宣言されました。

その他の業績

また、ジェンナーは生物学にも興味を持ち、特に鳥類の研究に関しても独自の観察を行っていました。カッコウの托卵や鳥の渡りに関する研究でも知られ、幅広い知識を持つ学者としての側面がありました。

論文と書籍の翻訳

彼の研究成果は多くの著書として後世に残されています。例えば、「種痘法の発見」や「牛痘についてのその後の観察」などが日本語に翻訳され、医学や歴史の重要な資料とされています。これらの資料は、種痘の歴史や初期の予防接種の発展を知るために貴重なものです。彼の業績は、今でも医学界において重要な位置を占め、パンデミック対策の参考にもされています。

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