エドワード・ド・ヴィアー (第17代オックスフォード伯)

第17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアー

第17代オックスフォード伯爵エドワード・ド・ヴィアー（Edward de Vere, 17th Earl of Oxford, 1550年4月12日 - 1604年6月24日）は、エリザベス1世時代のイングランドの貴族、廷臣、そして文人として知られています。彼は特に、戯曲や叙情詩の分野で才能を発揮し、後世の学者からは、シェイクスピア作品の原作者の一人として擬せられることもあります。

生涯

1550年、エドワード・ド・ヴィアーは、第16代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアーの息子として誕生しました。彼の家系は、イングランドで2番目に古い伯爵領を継承する名門でした。当時の慣習に従い、彼は代理親であるトーマス・スミスの家庭で養育され、ケンブリッジ大学（セント・ジョンズ・カレッジ）の元フェロー、トーマス・フォウルによって教育を受けました。1558年にはケンブリッジのクイーンズ・カレッジに入学しましたが、正式な卒業には至っていません。

1562年8月に父が亡くなると、彼は第17代オックスフォード伯の地位を継承しました。若きエリザベス1世の第一秘書であったウィリアム・セシルを直属の上司とし、その監督の下でフランス語、ラテン語、天文学、絵画、舞踊、乗馬といった様々な分野の修行に励みました。1564年には、叔父であり翻訳家でもあったアーサー・ゴールディングから『ポンペイウス・トログスによる歴史の梗概』を贈られ、古代に関する深い興味を抱くようになりました。

1575年からは、エリザベス1世の命により外国へ派遣され、その年の2月にはフランス王アンリ3世と王妃に謁見を許されています。3月にはストラスブールでヨハンネス・シュトゥルム博士と出会い、その後ミラノを経由してヴェネツィアに向かいました。イタリアでは他にシエーナにも滞在しています。1577年にはパリに滞在し、ユグノー戦争の第6次戦争においてアンリ3世への奉仕を申し出たと伝えられています。帰国後には、裁判制度にイタリアの方式を導入したとも言われています。1604年、54歳で死去し、息子のヘンリーがオックスフォード伯位を継承しました。

文人としての活動

オックスフォード伯は、ブラックフライアーズをはじめとする劇団や詩人、芸人の保護者として広く賞賛されていました。自身も詩人として知られ、同時代の批評家であるウィリアム・ウェッブやジョージ・パトナムからも賛辞を受けています。彼の詩は、『The Paradise of Dainty Devises』(1576-1606)といった詩集にも収録されています。

逸話

7年間に及ぶ外国旅行中に、彼は毎年4万ポンドという巨額の資金を費やしました。フィレンツェでは、トスカナ大公を凌ぐほどの豪奢な生活を送っていたと伝えられています。

また、エリザベス1世の前で最敬礼をした際、偶然にも放屁をしてしまい、それを恥じて外国へ逃れたという噂も存在します。しかし、女王は帰国した伯を温かく迎え、「あのおならはもう忘れました、伯爵」と言ったとされています。

子女

1571年、ウィリアム・セシルの娘アン・セシルと結婚し、5人の子を儲けました。アンは1588年に死去しています。

エリザベス（1575年 - 1627年） - ダービー伯ウィリアム・スタンリーと結婚
ブルベック（1583年）
ブリジット（1584年 - 1630年/1631年） - バークシャー伯フランシス・ノリスと結婚
フランシス（1587年）
スーザン（1587年 - 1629年） - ペンブルック伯フィリップ・ハーバートと結婚

1591年には、トマス・トレンサムの娘エリザベス・トレンサムと再婚し、息子を1人儲けました。

ヘンリー（1593年 - 1625年） - 第18代オックスフォード伯

参考文献

ジョン・オーブリー『名士小伝 Brief Lives and Other Selected Writings』（1979年、冨山房百科文庫）

関連項目

シェイクスピア別人説
* もうひとりのシェイクスピア

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