オックスフォード伯爵

オックスフォード伯爵：英国貴族の歴史

オックスフォード伯爵は、イングランド貴族の爵位であり、1141年にオーブリー・ド・ヴィアーによって創設されました。この爵位は、20代にわたりド・ヴィアー家によって継承されましたが、1703年に廃絶しました。その後、オックスフォードの名を冠する爵位として、オックスフォード＝モーティマー伯爵とオックスフォード＝アスキス伯爵が創設されました。

オックスフォード伯爵（1141年）

ド・ヴィアー家は、フランス・ノルマンディー地方のヴェール出身であり、オーブリー・ド・ヴィアー1世がウィリアム1世のイングランド侵攻に参加し、そのままイングランドに定住しました。彼の息子であるオーブリー・ド・ヴィアー2世は大侍従卿となり、その地位はさらに彼の息子オーブリー・ド・ヴィアーへと引き継がれました。1141年7月、オーブリー・ド・ヴィアーはケンブリッジ伯爵に叙せられましたが、スコットランド王からの異議申し立てにより、オックスフォード伯爵へと変更されました。以降、この爵位は20代、560年にわたりド・ヴィアー家によって継承されることになります。

3代伯ロバートは、ジョン王にマグナカルタを迫った25人の貴族の一人として知られています。ド・ヴィアー家の所領は少なく、古い歴史と式部卿を世襲する役割以外には特筆すべき点はありませんでしたが、9代伯ロバートはリチャード2世の側近として台頭し、1385年にダブリン侯爵、1386年にはアイルランド公爵に叙せられ、アイルランドの統治を任されました。しかし、間もなく失脚しました。

13代伯ジョンは、薔薇戦争でランカスター派の指揮官として活躍しました。そして、20代伯オーブリーの死去をもって、男子継承者がいなくなり、爵位は廃絶しました。

オックスフォード＝モーティマー伯爵（1711年）

アン女王時代のトーリー党政権の首脳であったロバート・ハーレーが、1711年にグレートブリテン貴族オックスフォード伯爵＝モーティマー伯として叙爵されました。この爵位は6代続きましたが、1853年に廃絶しました。

オックスフォード＝アスキス伯爵（1925年）

自由党の首相を務めたハーバート・ヘンリー・アスキスが、1925年に連合王国貴族オックスフォード＝アスキス伯爵に叙爵されました。この爵位は2020年現在も存続しています。

歴代当主

オックスフォード伯爵 (1141年)

初代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー (1115頃–1194)
2代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー (1163頃–1214)
3代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー (1165頃–1221)
4代オックスフォード伯ヒュー・ド・ヴィアー (1207頃–1263)
5代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー (1240–1296)
6代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー (1257–1331)
7代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー (1312–1360)
8代オックスフォード伯トマス・ド・ヴィアー (1337–1371)
9代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー (1362–1392)
10代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー (1340–1400)
11代オックスフォード伯リチャード・ド・ヴィアー (1385–1417)
12代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー (1408–1462)
13代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー (1442–1513)
14代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー (1499–1526)
15代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー (1482–1540)
16代オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアー (1516–1562)
17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアー (1550–1604)
18代オックスフォード伯ヘンリー・ド・ヴィアー (1593–1625)
19代オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアー (1575–1632)
20代オックスフォード伯オーブリー・ド・ヴィアー (1627–1703)

オックスフォード＝モーティマー伯爵 (1711年)

オックスフォード＝アスキス伯爵 (1925年)

参考文献

青山吉信 編『イギリス史〈1〉先史~中世』山川出版社〈世界歴史大系〉、1991年。ISBN 978-4634460102。 
松村赳、富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年。ISBN 978-4767430478。 
* 森護『英国の貴族 遅れてきた公爵』大修館書店、1987年。ISBN 978-4469240979。 

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