エバーグリーン航空

エバーグリーン航空（Evergreen International Airlines）は、かつてアメリカ合衆国オレゴン州マクミンビルに本社を置いていた航空会社です。1960年にエヴァーグリーン・ヘリコプターズ社として設立され、1974年にジョンソン・フライングサーヴィスを吸収合併し、固定翼機による運航を開始しました。

事業の拡大と国際展開

エバーグリーン航空は、アメリカ軍の輸送業務を請け負う一方で、民間チャーター便や自社便も運航しました。国際線にも積極的に展開し、香港国際空港をハブ空港としていました。1990年代には、日本航空とのウェットリース契約により、成田国際空港（当時は新東京国際空港）にも乗り入れ、極東アジアへの路線も展開していました。しかし、契約終了後は日本から撤退しました。

同社は、L-188、DC-3、C-46、DC-9-15/30、DC-8、B727-100、CV580、B747-100/200/400など、多種多様な航空機を運航していました。

多角的な事業展開

エバーグリーン航空の持ち株会社であるエバーグリーン・エイヴィエーション社は、航空機運航だけでなく、クリスマスツリーや苗木の育成（エバーグリーンファーム）、空港地上支援業務（エバーグリーン・イーグル）、航空機のリース・売買仲介（エバーグリーン・イースル）など、多岐にわたる事業を展開していました。

倒産と解散

2010年代に入ると、軍需縮小、不況、財政難などの影響を受け、エバーグリーン航空は経営が悪化。2013年12月31日に連邦倒産法第7条（チャプター7）を申請し、運航を停止しました。その後、倒産・解散となりました。

エバー航空との混同について

中華民国（台湾）の大手航空会社であるエバー航空は、親会社が長栄海運（エバーグリーン・マリン）であり、エバーグリーン航空とは全く関係ありません。社名も混同を避けるために区別されています。

ボーイング747-400LCF（ドリームリフター）の運航

エバーグリーン航空は、ボーイングが保有する航空機部品を運搬する専用の大型特殊貨物機「747-400LCF型」（ドリームリフター）4機の運航を、2010年7月まで受託していました。現在はアトラス航空が運航しています。

エバーグリーン航空宇宙博物館

オレゴン州マクミンヴィル市にあるエバーグリーン航空宇宙博物館は、エバーグリーン国際航空社と密接な関係を持つ博物館です。H・R・ヒューズが設計したH-4 ハーキュリーズ飛行艇（通称「スプルース・グース」）や、様々な軍用機を展示しています。

当初はエバーグリーン航空社が運営していましたが、現在は財団による運営となっています。しかし、エバーグリーン航空の倒産後には経営不振に陥り、一部の所蔵機を売却しました。

博物館の歴史

1991年、エバーグリーン国際航空社を創業したデルフォード・マイケル・スミスの息子、マイケル・キング・スミス元空軍大尉が、本社横の格納庫を使い「エバーグリーン博物館」として設立しました。その後、数回にわたり改称を経て、2008年に現在の名称である「エバーグリーン航空宇宙博物館」となりました。2009年にはスミソニアン広告プログラムに加盟しています。2013年にはエバーグリーン航空が倒産し、博物館の運営財団も破産申請に至りましたが、その後、土地の一部が売却され、ウォーターパークの増設も計画されています。

主な所蔵機

博物館には、P-38、P-51、Bf 109、スピットファイアなど、数多くの歴史的な航空機が所蔵されています。ただし、2014年の経営不振以降に、いくつかの機体が売却されています。

エバーグリーン航空の航空事故

エバーグリーン航空は、いくつかの航空事故も経験しています。

1985年7月4日、香港・啓徳空港での着陸時、ダグラスDC-8型機が左主脚を損傷し火災が発生。
1989年3月18日、カースウェル空軍基地離陸直後、ダグラスDC-9型機の貨物ドアが開き墜落。乗員2名が死亡。
1993年3月31日、アンカレッジ国際空港離陸直後、ボーイング747型機が乱気流に遭遇し、第2エンジンが脱落。緊急着陸。

これらの事故は、同社の運航における安全面での課題を浮き彫りにしました。

関連項目

成層圏赤外線天文台（SOFIA）
747スーパータンカー

外部リンク

Evergreen International Airlines
* エバーグリーン博物館


以上が、エバーグリーン航空に関する詳細な情報です。

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