エフスターフィイ (戦艦)

エフスターフィイ：ロシア海軍の前弩級戦艦

エフスターフィイ（Евстафий）は、ロシア帝国海軍に属する前弩級戦艦として、第一次世界大戦中に主要な役割を果たしました。この艦は、1904年の7月に建造が開始され、1906年11月には進水を迎え、最終的に1911年に竣工しました。設計段階から前線に投入されたエフスターフィイは、黒海艦隊における最新鋭の艦艇でした。

艦歴の始まり

進水から4年後の1911年秋、エフスターフィイはルーマニア沖で一時座礁する事件がありましたが、幸いにも損傷は軽微に留まりました。この艦は、黒海艦隊の司令官アンドレイ・エベルガールト中将の旗艦として、戦時中の指揮を担ったため、重要な使命が課せられました。

1914年11月、ロシアがオスマン帝国に対して宣戦布告するにあたり、エフスターフィイは早速艦隊の中心としての任務を果たしました。艦隊はトラブゾンを砲撃するために出撃し、実際に11月17日に攻撃を実施しました。このとき、エフスターフィイはオスマン帝国の巡洋戦艦ヤウズ・スルタン・セリムと遭遇し、サールィチ岬での激しい海戦が展開されます。

サールィチ岬の海戦

この海戦では、エフスターフィイがヤウズ・スルタン・セリムに対して斉射を行い、命中弾を記録しましたが、反対に自身も数発の命中弾を受ける結果となりました。この戦闘の結果、エフスターフィイでは34人が戦死し、24人が負傷しました。また、艦は多数の砲弾を発射し、戦闘に貢献しましたが、その後一部の装甲を交換する必要が生じ、修理作業が行われることになります。

その後の任務

1915年1月、エフスターフィイはオスマン帝国の巡洋艦と交戦し、一時的に前部砲塔が使用不能になる場面もありました。その後、数回にわたりボスポラス海峡を砲撃する作戦に参加し、各回で様々な遭遇戦を経験しました。特に5月にはヤウズ・スルタン・セリムとの新たな戦闘が勃発し、艦隊戦が繰り広げられました。

1915年10月には、エフスターフィイが重要な港町ゾングルダクを砲撃し、続いて翌年にはヴァルナでの攻撃に参加するなど、その役割を着実に果たしていきます。

退役とその後

1918年3月になると、エフスターフィイはセヴァストポリで予備役となり、数ヶ月後の5月にはドイツ軍によって捕獲されました。その後、連合国に引き渡され、1919年にはイギリスによる機関の破壊が行われ、ボリシェヴィキによる不正利用を防ぐための措置が取られました。

ロシア内戦中の混乱の中で、この艦は様々な勢力に捕獲される運命を辿りました。そして、1920年には白軍がクリミアを撤退する際に放棄され、その後1921年にはRevoliutsiiaという名に改称されました。

最終的には1922年から1923年にかけて解体され、1925年には正式に海軍から除籍されました。エフスターフィイは、その短いながらも波乱に満ちた歴史の中で多くの戦闘を経験し、ロシア海軍史に名を刻む存在となったのです。

参考文献

• - McLaughlin, Stephen (2001). “Predreadnoughts vs a Dreadnought: The Action off Cape Sarych, 18 November 1914”. In Preston, Antony. Warship 2001-2002. London: Conway Maritime Press. pp. 117–40. ISBN 0-85177-901-8
• - McLaughlin, Stephen (2003). Russian & Soviet Battleships. Annapolis, MD: Naval Institute Press. ISBN 1-55750-481-4
• - Nekrasov, George (1992). North of Gallipoli: The Black Sea Fleet at War 1914–1917. East European Monographs. Boulder, Colorado: East European Monographs. ISBN 0-88033-240-9

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