エブゲン (コルゲン家)

エブゲンの歴史とその家系

エブゲン（モンゴル語: Ebügen、中国語: 也不干、生没年不詳）は、モンゴル帝国において重要な皇族の一員でした。彼はチンギス・カンの庶子、コルゲンの曾孫であり、その存在はモンゴル史における重要な役割を果たしました。

エブゲンの父系

エブゲンの曾祖父、コルゲンはチンギス・カンとその側室であるクラン・カトゥンの子供です。コルゲンは庶出でしたが、他の嫡子たちと同様に分封を受けており、特に彼の家系は唯一王家（ウルス）を形成しました。この王家はモンゴル高原の中央部に位置していたとみられています。

コルゲンの死後、王家はその息子である河間王クチャ（Quča、忽察）に引き継がれました。クチャはさらにその息子、クルタイ大王（Qurudai、忽魯歹）によって継承されました。クルタイ大王は、北平王ノムガンの中央アジア遠征に従軍し、「シリギの乱」にも関与しましたが、最後にはクビライの派遣した将軍バヤンと協力して叛乱を鎮圧しました。

エブゲンの叛乱

クルタイ大王の後に王位を継いだのがエブゲンです。彼は至元24年（1287年）にオッチギン王家のナヤンとともにクビライ・カアンに対して反乱を起こしました。エブゲンはコルゲン王家を率いて、ケルレン川流域に向かいましたが、これに対するキプチャク人将軍の反応は迅速でした。

将軍トトガクは、他の将軍が指示を仰ぐ中、すぐに出陣を決意し、「叛乱が事実ならば我々は敵の不意を突かなければならない」と述べて即日出兵しました。エブゲンの軍とトトガクの軍はトーラ川で遭遇し、厳しい戦闘が行われました。酷暑の中、トトガクの部隊は勝利を収め、エブゲンの軍を大きく撃破しました。

この戦闘により、エブゲンの軍は多くの兵を失い、彼自身も少数の部下を率いて逃げる結果となりました。至元25年（1288年）冬、エブゲンは再度大元ウルスへの攻撃を試みましたが、しかし、再び敗北を喫し、タタル部出身の武将に捕らえられてしまいます。その後の彼に関する記録はなく、彼の運命は不明です。

エブゲンの家系

エブゲンの家系は、コルゲン、河間王クチャ、クルタイ大王を経て次第に知られています。彼自身はバイ・バラク大王（Bai-baraq、八八剌）やエメゲン大王（Emegen、也滅干）といった他の王たちと繋がりがありますが、最終的にエブゲンの子孫の詳細については記録が不明でした。このことから、彼の系図は時折混乱を招くこともありました。

参考文献

• - 杉山正明『モンゴル帝国と大元ウルス』京都大学学術出版会、2004年

エブゲンは短い生涯ながらも、モンゴル帝国の歴史において重要な位置を占めていました。その背景や周囲の力関係から学ぶことは多く、彼の歴史は今なお研究が続けられています。

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