エベッツ・フィールド

エベッツ・フィールドの歴史

エベッツ・フィールド（Ebbets Field）は、かつてニューヨーク市ブルックリン区に存在した著名なスタジアムで、主にメジャーリーグベースボール（MLB）のブルックリン・ドジャース（現ロサンゼルス・ドジャース）の本拠地として知られています。このスタジアムは、アメリカンフットボールの試合も行われており、NFLのブルックリン・ライオンズが1926年に一度限りの戦いを繰り広げ、さらに1940年代にはAAFCのブルックリン・ドジャースも使用していました。

スタジアムの設立と成長

ブルックリン・ドジャースは1883年に設立され、1902年にチャーリー・エベッツがハリー・ファンデルホーストから球団を買収しました。エベッツは「チームをブルックリンに留める」という条件を受け入れ、その後ワシントン・パークに不満を抱くようになります。そこで、新しい本拠地を求めて小規模な木造球場から、鉄筋コンクリート製のスタジアムへの移転を計画しましたが、資金が不足していました。

エベッツは星選手を譲渡して資金を集めましたが、思うようにはいきませんでした。土地を安く入手するために、最終的にはマンハッタン橋から南に3マイル離れた廃棄地を選びます。1905年から1912年にかけて、彼は40人近い地権者と交渉を重ね、安全な土地の確保に成功しました。

1912年7月6日に建設が始まり、1913年4月5日に開場。その際、収容能力は23,000人に達し、エベッツの名を冠した「エベッツ・フィールド」として知られるようになりました。この年、ドジャースのチーム名は「ロビンス」に変更され、1932年から「ドジャース」となります。スタジアムの外観は、イタリアの大理石を用いた正面部分などで評価され、1916年と1920年にナショナル・リーグ優勝を果たすなど、チームの成功にあやかって多くの観客が集まりました。

時代の移り変わりと改修

1926年には外野席が追加され、1931年にはそれが2層に拡張、1938年にはナイター用の照明も設置されるなど、エベッツ・フィールドは時代に応じた改修が行われました。1946年からの10年間で、ドジャースは全リーグの総収入の44パーセントを占めるほどの人気を誇りました。

球団移転の模索

しかし、1950年から新オーナーのウォルター・オマリーが就任すると、球団の移転が現実味を帯びてきます。30,000人以上を収容するスタジアムに対し、駐車場の不足や夜間の治安問題が懸念され、オマリーは新たな本拠地を求めました。しかし市との協議は難航し、最終的にはドジャースがロサンゼルスへの移転を決定します。希望の地として人口増加や産業発展が期待され、飛行機の便も良いことが決め手となりました。

ファンの抗議もありましたが、1957年9月24日にエベッツ・フィールドで行われた最後の試合では、観客数は6,700人と寂しいものでした。スタジアムは1960年2月23日に取り壊され、その跡地にはアパートが建設されました。現在、その場所を示す記念碑が設置されています。

現在の影響

2009年にオープンしたニューヨーク・メッツの本拠地「シティ・フィールド」は、エベッツ・フィールドをモデルにして建設され、その外観も当スタジアムを模したものになっています。こうして、エベッツ・フィールドはただのスタジアムに留まらず、ブルックリンの人々や野球ファンにとっての重要な象徴となり続けています。

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