エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ級軽巡洋艦

エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ級軽巡洋艦

エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ級は、イタリア海軍が建造した軽巡洋艦であり、コンドッティエリ級の第4グループに属します。このクラスは、先行するライモンド・モンテクッコリ級を基に、装甲の強化や魚雷発射管の改良が加えられた発展型として位置づけられます。

概要

本級は、「エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ」と「エウジェニオ・ディ・サヴォイア」の2隻で構成され、それぞれ1935年と1936年に竣工しました。これらの艦は、前級であるライモンド・モンテクッコリ級の設計をベースに、防御力の向上と兵装の強化を図ったものです。

第二次世界大戦中、本級は主に輸送任務に従事しました。これは、その高い速力と航続距離が、物資輸送に適していたためと考えられます。

艦形

艦首は、水面下にはバルバス・バウを備えており、突出した形状をしています。艦首甲板には、1番と2番の主砲塔が背負い式に配置されています。艦橋構造は、ウンベルト・プリエーゼ中将が考案した円筒型を採用していますが、窓の周囲に遮風装置が設けられた点が前級との違いです。艦橋後方には2本の煙突があり、機関のシフト配置により前後に離れています。煙突の間には、水上機射出用の旋回式カタパルトが1基配置され、1番煙突の両舷には三連装魚雷発射管がそれぞれ1基ずつ搭載されています。2番煙突の前方には後部三脚檣が立ち、2番煙突の周辺は艦載艇置き場として使用されていました。水上機と艦載艇は、後部三脚檣基部のクレーンによって運用されました。後部甲板には、3番と4番の主砲塔が背負い式に配置され、高角砲は防盾付きの連装砲架で、2番煙突後方の舷側甲板に片舷1基ずつ、3番主砲塔の前方に1基の合計3基が逆三角形に配置されました。

1943年には、魚雷発射管、航空艤装、13.2mm機銃が撤去され、代わりに2cm機銃が12門搭載されました。これにより、対空能力が強化されました。

主砲

主砲は、前級と同様のModel 1929 15.2cm（53口径）砲を連装砲塔に搭載しました。この砲は、重量47.5kgの砲弾を使用し、最大射程は仰角45度で22,600mに達します。イタリア海軍の条約型巡洋艦は、左右の砲身を同一砲架に据え付ける方式を採用しており、砲塔の小型化と機構の簡略化を図りましたが、斉射時の衝撃波による散布界の拡大が弱点でした。この問題は、独立砲架を採用したルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィ級まで続きました。砲塔の旋回範囲は左右150度、俯仰範囲は仰角45度から俯角5度で、発射速度は毎分4発でした。

高角砲・機銃・水雷兵装

高角砲には、1927年式の10cm（47口径）高角砲が採用され、近接対空兵器としてModel 1932 3.7cm（54口径）機関砲が搭載されました。この機関砲は、0.83kgの砲弾を最大射程7,800mまで飛ばすことができ、仰角80度まで射撃可能でした。旋回範囲は左右120度、発射速度は毎分60～120発でした。さらに、Model 1931 13.2mm（75.7口径）機銃も搭載され、最大射程6,000m、仰角85度まで射撃可能でした。旋回角度は360度でしたが、構造物により射界が制限されました。発射速度は毎分500発でした。

水雷兵装としては、53.3cmの三連装魚雷発射管を2基搭載しました。後に、13.2mm機銃は、ブレダ社のModel 1940 2cm（65口径）機銃に更新され、対空能力がさらに強化されました。この機銃は、0.134kgの機銃弾を最大射程5,500mまで飛ばすことができ、旋回範囲は左右120度、発射速度は毎分120～240発でした。

艦歴

第二次世界大戦後、本級の2隻は戦勝国への賠償艦として引き渡されました。「エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ」は、ソ連海軍に引き渡され、「スターリングラード」と改名された後、「ケルチ」と再度改名され、1959年に除籍されました。「エウジェニオ・ディ・サヴォイア」は、ギリシャ海軍に引き渡され、「エリ」と改名され、1964年まで運用されました。

同型艦

エマヌエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ：第2代アオスタ公エマヌエーレ・フィリベルトに由来。
エウジェニオ・ディ・サヴォイア：サヴォイア＝カリニャーノ公子エウジェーニオ・フランチェスコに由来。

参考資料

世界の艦船増刊「イタリア巡洋艦史」（海人社）

関連項目

イタリア海軍艦艇一覧

外部リンク

* Scheda sintetica sul sito web della Marina Militare Italiana

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