エミリア街道

エミリア街道：古代ローマの動脈、現代イタリアの礎

エミリア街道（Via Emilia）は、北イタリアを東西に貫く古代ローマ時代の重要な街道です。現在のピアチェンツァ（プラケンティア）とリミニ（アリミヌム）を結ぶ約270kmの直線的な道は、単なる交通路としてだけでなく、都市の発展や文化交流の促進に大きく貢献しました。

名称の由来と歴史的背景

街道の正式名称は「アエミリア街道」（Via Aemilia）であり、「エミリア」は、建設を主導した執政官マルクス・アエミリウス・レピドゥスに由来します。紀元前187年に開通したこの街道は、ローマがポー平原（ガリア・キサルピナ）に勢力を拡大する上で不可欠な役割を果たしました。

ローマは紀元前268年にアドリア海沿岸にリミニを建設し、紀元前218年にはポー川河畔にピアチェンツァを建設しました。ローマからリミニへは、すでにフラミニア街道が紀元前220年に開通していました。アエミリア街道は、このフラミニア街道と接続し、ポー平原を東西に結ぶことで、ローマの支配領域を拡大し、経済活動を活発化させる原動力となりました。

街道建設後、ムティナ（モデナ）、レギウム（レッジョ・エミリア）、パルマといった都市が街道沿いに建設され、急速に発展しました。これらの都市は、現在もエミリア＝ロマーニャ州の主要都市として繁栄しています。

紀元前148年には、ピアチェンツァから西のゲヌア（ジェノヴァ）や東のアクィレイアへと続くポストゥミア街道が建設され、エミリア街道はさらに重要な交通網の一部となりました。また、アエミリア街道を北西に延伸する形で、アウグスタ・プラエトリア・サラッソルム（アオスタ）方面への街道も建設され、その重要性はますます高まりました。

紀元前42年頃、ガリア・キサルピナがイタリア本土に編入されると、アエミリア街道沿いの地域は第8行政区「アエミリア」（Regio VIII Aemilia）となり、「エミリア地方」という地域名が誕生しました。これは、街道が単なる交通路を超え、地域文化やアイデンティティの形成に深く関わっていたことを示しています。

現代におけるエミリア街道

現在、エミリア街道は国道9号線としてその姿をとどめています。また、アウトストラーダ（高速道路）A1、A14や鉄道路線が並行して走り、現代の交通においても重要な役割を果たしています。古代ローマ時代から現代に至るまで、エミリア街道はイタリアの発展を支え続けているのです。

エミリア街道沿いの主要都市

エミリア街道沿いには、歴史的な都市が数多く存在します。以下に、街道沿いの主要都市を西から順に列挙します。

ピアチェンツァ
フィデンツァ
パルマ
レッジョ・エミリア
モデナ
ボローニャ
イーモラ
ファエンツァ
フォルリ
リミニ

これらの都市は、現在ではエミリア＝ロマーニャ州の一部として、豊かな文化と歴史を今に伝えています。

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エミリア街道は、古代ローマの土木技術の粋を集めた建造物であり、その歴史的・文化的価値は計り知れません。街道沿いの都市を巡り、古代ローマの息吹を感じてみてはいかがでしょうか。

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