フラミニア街道

フラミニア街道：古代ローマの動脈

フラミニア街道（Via Flaminia）は、ローマからリミニを結ぶ古代ローマの重要な街道であり、北へ向かう主要な経路でした。その歴史は古く、ローマの拡大と密接に結びついています。

歴史

フラミニア街道は、紀元前220年にガイウス・フラミニウスによって建設されました。ローマ帝国時代には頻繁に改修が行われ、特にアウグストゥス帝は街道の全面的な改修を自ら担当し、橋の再建を行いました。ミルウィウス橋やリミニの凱旋門は、アウグストゥスの功績を称えるために建てられました（リミニの凱旋門は現存）。

紀元77年には、ウェスパシアヌス帝が新たなトンネルを建設し、Intercisaと呼ばれる新たな経路を完成させました。また、トラヤヌス帝もフラミニア街道沿いの橋を修理したことが石碑から判明しています。

中世に入ると、フラミニア街道は「ラヴェンナ街道」として、ラヴェンナとローマを結ぶ道として利用されました。しかし、東ローマ帝国のラヴェンナ総督府が陥落すると、街道は衰退しました。ルネサンス期に部分的に再建され、ナポレオン時代や第二次世界大戦中にも軍事的に利用されました。現代では、フラミニア街道に沿って国道3号線が整備され、ローマからアドリア海へ向かう主要道路となっています。

フラミニア街道は、古代において二つの重要な役割を果たしました。紀元前3世紀から紀元前2世紀にかけてのローマ拡大期には、ポー平原で収穫された小麦をローマや中央イタリアへ輸送する経路として機能しました。ローマ衰退後は、イタリア中心部へ向かう道として、ガイウス・ユリウス・カエサルをはじめとする多くの人物や軍隊が利用しました。そのため、街道沿いには数々の古戦場が存在します。

経路

フラミニア街道は、ローマのアウレリアヌス城壁内のポポロ広場を出発点としています。そこからカンピドリオまでは、Via del Corso（Via Lata）が続いており、フラミニア街道の一部と見なすことができます。街道は北へ向かい、エトルリア人の都市Falerii（現在のチーヴィタ・カステッラーナ）の東を通り、テヴェレ川を渡ってウンブリア州に入ります。その後、Ocriculum（現在のオトリーコリ）やNarnia（現在のナルニ）を経由し、ナルニではネラ川を渡ります。ネラ川には、マルティアリスが「ローマ最大の橋」と記した4つのアーチを持つ橋が架かっていましたが、現在では1つのアーチと橋脚が残っています。

さらに街道は、Casuentum（現在のサン・ジェーミニ）、カズラエ (Carsulae) を経由してMevania（現在のベヴァーニャ）に至り、フォリーニョ (Forum Flaminii) へと続きます。後に、NarniaからForum Flaminiiへの遠回りな経路が採用され、Interamna Nahars（テルニ）、Spoletium（スポレート）、Fulginium（フォリーニョ）を経由するルートとなりました。フォリーニョからは、ペルージャ方面への枝道がありました。

Forum Flaminiiからは、Nuceria Camellaria（ノチェーラ・ウンブラ）へ向かい、そこからSeptempeda、アンコーナ、Tolentinum（トレンティーノ）、Urbs Salvia（ウルビザーリア）へ向かう枝道がありました。街道はHelvillum（現在のシジッロまたはフォッサート・ディ・ヴィーコ）を通ってアペニン山脈を越えます。峠にはユーピテルの神殿があったと伝えられています。下ってCales（カーリ）に至り、そこから北東に曲がってブラーノ川の峡谷に沿って進みます。

Gola del Furloでは、紀元前3世紀に建設されたトンネルが、ウェスパシアヌス帝によって建設された新しいトンネルに置き換えられました。現在の国道3号線Flaminiaは、ウェスパシアヌスのトンネルを使用しており、皇帝の石碑や古いトンネルの痕跡を見ることができます。

フラミニア街道は、アペニン山脈の峡谷からForum Sempronii（フォッソンブローネ）を経て、アドリア海に面したFanum Fortunae（ファーノ）に至り、そこから北西に向かってPisaurum（ペーザロ）を経由し、Ariminum（リミニ）に到達します。ローマからの距離は、古い経路では210ローマンマイル（311km）、新しい経路では222ローマンマイル（329km）です。

フラミニア街道は、古代ローマの繁栄を支えた重要なインフラであり、その歴史と経路は、ローマ帝国の拡大と衰退を物語っています。

関連項目

ローマ街道
ポポロ広場

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