エミ・ナカムラ

エミ・ナカムラについて

エミ・ナカムラ（Emi Nakamura）は、1980年に生まれた日系二世の経済学者です。彼女はアメリカとカナダの国籍を持ち、現在はカリフォルニア大学バークレー校の経済学部で教授を務めています。また、全米経済研究所の研究員としても活動しており、アメリカ経済学会の主要な雑誌であるAmerican Economic Reviewの共同編集者を務めています。

ナカムラ教授は、2019年にジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞し、その年にアメリカ芸術科学アカデミーの会員にも選ばれました。彼女はまた、アメリカ国立科学財団やアルフレッド・P・スローン財団からの多くの研究助成金を受けており、2014年にはエレイン・ベネット研究賞も受賞しています。さらに、IMFによる「45歳未満の経済学者トップ25」にも選ばれており、2018年にはエコノミスト誌から「この10年間で最も秀でた若き経済学者8人」の一人に選出されています。

学歴

ナカムラはプリンストン大学で経済学の学士号を取得し、優秀な成績で卒業しました。卒業論文では「金融景気循環を伴う経済」というテーマで研究を行いました。その後、ハーバード大学に進学し、ロバート・バロー教授とアリエル・ペイクス教授の指導のもとで博士論文を執筆し、2007年に経済学の博士号を取得しました。

研究内容

エミ・ナカムラの研究は、主に価格の硬直性やその経済への影響に焦点を当て、経済学の中でも特にニューケインジアン経済学の分野で多くの実証的成果を上げています。彼女の代表的な研究の一つである「価格に関する5つの事実」では、価格の変動が経済状況への反応ではなく、予め計画されたセールによるものであることを示しました。これにより、マクロ経済モデルの設計に重要な影響を与えています。

ナカムラは、政府の財政政策とその経済への影響を探る研究も多く、特にゼロ下限の状況下での財政刺激策が経済にどのように寄与するかについて重要な知見を提供しています。彼女の研究は、米国における軍事支出の地域差を利用して政府支出の乗数を推定し、1.5という高い値を導き出しました。このような成果は、財政政策が需給に与える影響を理解する上で価値があります。

また、ナカムラは金融政策における非中立性についても研究しており、特に金利に対する金融市場の反応を検証することで、経済全体にどのように影響を及ぼすかを考察しています。彼女の研究は、金融政策の効果を分析する新たな視点を提供しています。

私生活

ナカムラは、同じく経済学者で多くの共著を持つジョン・スタインソンと結婚しており、二人の子供がいます。ナカムラ家は学者一家であり、母親はアルバータ大学の教授、父親はブリティッシュコロンビア大学の名誉教授です。さらに、彼女は経済学者ガイ・オーカットの孫娘でもあります。

主な受賞歴

• - 2014年 エレイン・ベネット研究賞
• - 2014年 IMFが選ぶ次世代経済学者トップ25
• - 2014-2016年 スローン財団研究フェローシップ
• - 2015年 エックルス研究賞（金融・経済学部門）
• - 2019年 ジョン・ベイツ・クラーク賞

エミ・ナカムラの業績は、グローバルな経済学界において高く評価されており、彼女の研究成果は、経済政策の理解や実施において極めて重要な示唆を与えています。

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