バラモン

バラモンとは

バラモン（サンスクリット語: ब्राह्मण brāhmaṇa）は、インドのカースト制度の頂点に位置する司祭階級を意味します。この階級は、バラモン教やヒンドゥー教において重要な役割を果たします。

名前の由来

「バラモン」という名称は、サンスクリットの「ブラーフマナ」（brāhmaṇa）を音写したものから派生しています。元々「ブラーフマナ」は古代インド哲学における宇宙の根本原理であるブラフマンに由来し、「ブラフマンに属する」という意味を持ちます。

神話的な起源

『リグ・ヴェーダ』に記された「プルシャ賛歌」では、神々が祭祀を行う際に原人プルシャを切り分け、その口がバラモンとなったとされています。この神話はバラモンの地位を神聖視する一因となりました。

歴史

バラモンの起源

バラモンの起源は、紀元前13世紀頃に遡ります。この時期、インド・アーリア人がドラヴィダ人を支配するための階級制度である「ヴァルナ」を構築しました。彼らは自らを司祭階級とし、ブラーフマナ、すなわちバラモンと称しました。この歴史的見解は、神話的な宇宙論を信じているヒンドゥー教徒とは異なる立場です。

中近代のバラモン

12世紀以降、イスラーム教徒の侵入があり、13世紀にはデリー・スルターン朝、16世紀にはムガル帝国が成立しました。しかし、バラモンは依然としてヒンドゥー貴族や地方官吏として高い地位を保持していました。また、18世紀にデカン地方を支配したマラーター王国の支配層もバラモンが占めていました。

現代のバラモン

2011年のインド国勢調査によると、バラモンの人口は6200万人で、全人口の約5%を占めています。特に北部では彼らの数が多くなる傾向があります。

仏教におけるバラモン

仏教では、バラモン教が持つ生まれによるカースト制度を否定しました。釈迦は業に基づく教えを通じて、出身階級による差別を明確に否定しています。初期仏教の経典『法句経』では、完成された人こそがバラモンと呼ばれると強調されています。

日本においては、渡来したインド人の仏教僧をカーストに関係なく「婆羅門」として呼ぶ習慣があります。

結論

バラモンはインドのカースト制度において重要な位置を占めており、時代を超えた影響を持つ存在です。その文化的、宗教的な役割や歴史を理解することは、インド社会を理解する上で欠かせません。

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