ラーマ4世

ラーマ4世（1804年 - 1868年）は、チャクリー王朝の第4代シャム国王であり、その在位は1851年から1868年まででした。彼は、チョームクラオ、モンクットの名でも知られ、特に仏教界ではタマユットニカーイの創始者として重要な人物です。

ラーマ4世は、ラーマ2世を父に持ち、王位継承権を有していましたが、自ら王位を辞退し、27年間にわたり出家生活を送りました。この期間に、彼はパーリ語やサンスクリット語を習得し、仏教の教義を深く探求しました。同時に、タイの仏教のあり方に疑問を抱き、宗教改革の必要性を感じていました。彼は、キリスト教宣教師から英語やラテン語を学び、西洋の合理的な思考に触発され、迷信を排除した新しい仏教のあり方を模索しました。その結果、タマユットニカーイという革新的な仏教集団を設立しました。また、ラーマ4世は、ラームカムヘーン大王碑文を発見した人物でもあります。

即位後は、西洋との関係を重視し、西洋文化の導入に積極的でした。イギリスからアンナ・レオノーウェンズを家庭教師として招き、子供たちに西洋式の教育を受けさせました。この出来事は、小説『アンナとシャム王』として広く知られるようになりましたが、アンナの証言には誇張や虚偽が含まれていると指摘されています。この物語は、映画や演劇にも複数回映像化されましたが、タイ国内では上映が禁止されています。

政治面では、1854年に清への朝貢を停止し、トンブリー王朝以来の冊封体制から脱却しました。1855年にはイギリスとボウリング条約を締結し、西洋との自由貿易を開始しました。これにより、米の輸出が盛んになり、中央平原部には運河が多く建設され、米の増産が図られました。また、外国人の便宜を図るためにジャルンクルン通り（ニューロード）を建設しました。ラーマ4世は、62人の子をもうけたとされています。

ラーマ4世は、天文学にも深い関心を持ち、独学で研究を重ねました。彼は、日食の場所と時刻を正確に予測し、1868年8月18日には、プラチュワップキーリーカンで日食を観測することに成功しました。しかし、観測地に選んだ場所がマラリアの流行地であったため、ラーマ4世はマラリアに感染し、2週間後に崩御しました。

ラーマ4世の生涯は、西洋文化と伝統文化の融合、宗教改革、政治改革など、多岐にわたる側面を持ち、タイの近代化に大きく貢献しました。彼の功績は、現在でも高く評価されています。

登場作品

映画
アンナとシャム王（1946年）演：レックス・ハリソン
王様と私（1956年）演：ユル・ブリンナー
アンナと王様（1999年）演：チョウ・ユンファ

演劇
王様と私

関連項目
九宝石勲章
白象勲章

もう一度検索