エメラルド級軽巡洋艦

エメラルド級軽巡洋艦

エメラルド級軽巡洋艦（Emerald class）、またはE級軽巡洋艦（E class）は、イギリス海軍が第一次世界大戦に関連して建造した艦級であり、その設計は当時の戦況に対応するために速力と火力の強化を目的としていました。この艦級は、敵であるドイツ海軍のブルンマー級敷設巡洋艦への対抗策として開発されました。

設計の背景

第一次世界大戦の末期、ドイツ海軍は速力28ノットを誇る巡洋艦を展開しており、これに対抗するためにイギリス海軍は新たな艦を必要としていました。その要件は特に速力を重視し、結果的にエメラルド級は速力33ノットを実現しました。これは、シェイクスピア級の2隻分の機関を搭載することで達成された結果です。1918年度の計画では3隻の建造が承認されましたが、最終的に完成したのは「エメラルド」と「エンタープライズ」の2隻のみで、3番艦の「ユーフレイティーズ」は建造途中で中止されてしまいました。

艦形と特徴

エメラルド級のデザインは、船首楼型の船体を採用しており、従来の設計とは異なり、より長くなった船首楼が特徴です。主砲にはMk XII 1906年型の15.2cm速射砲を採用し、艦首には改良された防盾付き単装砲架が配置されていますが、姉妹艦の「エンタープライズ」は新設計の連装砲塔を搭載しています。

艦の内部には、指揮統制を行うための艦橋と、探照灯台、後部射撃指揮所が設けられ、前部マストには射撃指揮所が備わっています。また、主砲は艦首と側面、艦尾に配置され、最大で6門の15.2cm砲を舷側に向けることができます。

武装と防御

エメラルド級の武装には15.2cm砲の他に、10.2cm高角砲、ポンポン砲が含まれています。高角砲は新設計のMk Vを採用し、これにより対空戦能力を強化しました。魚雷兵装としては53.3cm魚雷発射管が装備され、艦の側面に2基ずつ配置されていますが、1930年代に全て撤去され、四連装魚雷発射管が設置されました。

機関と性能

エメラルド級はヤーロー式の重油専焼水管細管缶とブラウン・カーチス式ギヤードタービンを組み合わせることで、強力な推進力を確保しています。これにより、推進軸数は4基となり、最大出力は80,000shp、最大速力は33ノットに達します。しかし、重油の搭載量の関係で、航続性能は制限されています。

同型艦

エメラルド級の艦は以下の2隻で構成されます。

• - エメラルド (Emerald) : 1926年就役。
• - エンタープライズ (Enterprise) : 1926年就役。
• - ユーフレイティーズ (Euphrates) : 建造中止。

艦の歴史は短いものでしたが、エメラルド級はイギリス海軍の巡洋艦の中で重要な役割を果たしました。その存続した期間は第二次世界大戦に突入する前の時代を彩り、当時の技術とデザインの集大成とも言える艦級でした。

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