エライアス・パリシュ・アルヴァーズ
エライアス・パリッシュ・アルヴァーズ（本名イーライ・パリッシュ）は、1808年2月28日にイングランドのデヴォン州ティンマスで生まれ、1849年1月25日にウィーンで逝去した、19世紀前半を代表するハープ奏者および作曲家です。
幼少期
ティンマスにあるセント・ジェームズ教会の洗礼記録には「ジョゼフ＆メアリー・アン・パリッシュの息子、イーライ」と記されています。音楽の基礎を最初に教えたのは、オルガニスト、声楽教師、書籍商でもあった父親でした。1818年にトットネスで初の公開演奏を行い、その才能を示しました。
研鑽の時代
1820年、パリッシュはロンドンに移り、高名なハープ奏者ニコラ＝シャルル・ボクサのもとで学びます。ボクサが王立音楽アカデミーの教授に就任した際に入学を試みましたが、父の破産により授業料が払えなかったため、入学は叶いませんでした。しかし、地元の有力者の支援により、ボクサの個人レッスンは継続することができました。1828年にはフィレンツェへ渡り、約1年間滞在して声楽や作曲を学び、この頃から「アルバート・アルヴァーズ」という名前を使い始めたと考えられています。ロンドンに戻った後、一時期ハープ製作会社のSchweiso & Grosjeanに勤務しました。
演奏家としての確立と旅
1830年頃から、パリッシュはドイツ、北欧、ロシアなどヨーロッパ各地で演奏旅行を開始します。1832年にはイスタンブールでマフムト2世のために演奏するなど、その活動範囲は広大でした。旅先では各国の民俗音楽を収集し、これは後に作品集『Travel of a Harpist in the Orient Op.62』として結実します。この時期から「エライアス・パリッシュ・アルヴァーズ」という名前を主に使用するようになります。
ウィーンでの成功と評価
1834年からウィーンに定住し、ウィーン宮廷歌劇場のソロ・ハープ奏者に就任。作曲も積極的に行い、ジーモン・ゼヒターやイグナーツ・フォン・ザイフリートに師事しました。ウィーンを拠点にドイツやイタリアなどでも精力的に演奏活動を展開します。1842年に彼の演奏を聴いたフランツ・リストは、その外見と内面の情熱的な想像力について印象的な記述を残しています。また、1843年にはエクトル・ベルリオーズがドレスデンとフランクフルトでの演奏を聴き、「ハープのリストだ」「魔術師だ」と絶賛し、その革新的な技巧と表現力を高く評価しました。
私生活と晩年
1842年10月、パリッシュ・アルヴァーズは自身の生徒でありピアニスト・ハープ奏者のメラニー・レヴィーと結婚し、翌年娘アロイジア、1846年には息子アーサーを授かります。1846年には「Imperial Virtuoso」の称号を与えられ、ウィーン楽友協会でハープ教授としても後進の指導にあたりました。
しかし、1840年代後半に入るとヨーロッパの政情は不安定化し、特にウィーンではメッテルニヒ体制下の抑圧と、その後の1848年革命の勃発が彼のキャリアに暗い影を落とします。革命の混乱により楽友協会が閉鎖され給与が停止されるなど、深刻な財政難に陥りました。他の都市でも同様の状況だったため演奏旅行も不可能となり、多くの生徒が町を離れたこともあり、音楽家としての活動はほぼ停止状態となりました。
1848年10月、家族と共にウィーン郊外へ疎開しますが、健康状態が急激に悪化し、1849年1月25日に肺炎（ただし記録は曖昧）のため、40歳の若さでこの世を去りました。遺体はザンクト・マルクス墓地に埋葬され、残された妻子はロンドンへ帰国しました。
代表的な作品には、ハープのための協奏曲や、オペラの旋律に基づく幻想曲などが挙げられます。
主な作品の一部
ロッシーニの『エジプトのモーゼ』による大幻想曲 Op.58
ウェーバーの『オベロン』による幻想曲 Op.59
ハープと管弦楽のための大協奏曲 ハ長調 Op.60
Travel of a Harpist in the Orient Op.62
ピアノと管弦楽のための協奏曲 ト短調 Op.90
ハープと管弦楽のための協奏曲 変ホ長調 Op.98
パリッシュ・アルヴァーズは、当時のハープの演奏技法を飛躍的に発展させた革新者として、音楽史において重要な位置を占めています。
幼少期
ティンマスにあるセント・ジェームズ教会の洗礼記録には「ジョゼフ＆メアリー・アン・パリッシュの息子、イーライ」と記されています。音楽の基礎を最初に教えたのは、オルガニスト、声楽教師、書籍商でもあった父親でした。1818年にトットネスで初の公開演奏を行い、その才能を示しました。
研鑽の時代
1820年、パリッシュはロンドンに移り、高名なハープ奏者ニコラ＝シャルル・ボクサのもとで学びます。ボクサが王立音楽アカデミーの教授に就任した際に入学を試みましたが、父の破産により授業料が払えなかったため、入学は叶いませんでした。しかし、地元の有力者の支援により、ボクサの個人レッスンは継続することができました。1828年にはフィレンツェへ渡り、約1年間滞在して声楽や作曲を学び、この頃から「アルバート・アルヴァーズ」という名前を使い始めたと考えられています。ロンドンに戻った後、一時期ハープ製作会社のSchweiso & Grosjeanに勤務しました。
演奏家としての確立と旅
1830年頃から、パリッシュはドイツ、北欧、ロシアなどヨーロッパ各地で演奏旅行を開始します。1832年にはイスタンブールでマフムト2世のために演奏するなど、その活動範囲は広大でした。旅先では各国の民俗音楽を収集し、これは後に作品集『Travel of a Harpist in the Orient Op.62』として結実します。この時期から「エライアス・パリッシュ・アルヴァーズ」という名前を主に使用するようになります。
ウィーンでの成功と評価
1834年からウィーンに定住し、ウィーン宮廷歌劇場のソロ・ハープ奏者に就任。作曲も積極的に行い、ジーモン・ゼヒターやイグナーツ・フォン・ザイフリートに師事しました。ウィーンを拠点にドイツやイタリアなどでも精力的に演奏活動を展開します。1842年に彼の演奏を聴いたフランツ・リストは、その外見と内面の情熱的な想像力について印象的な記述を残しています。また、1843年にはエクトル・ベルリオーズがドレスデンとフランクフルトでの演奏を聴き、「ハープのリストだ」「魔術師だ」と絶賛し、その革新的な技巧と表現力を高く評価しました。
私生活と晩年
1842年10月、パリッシュ・アルヴァーズは自身の生徒でありピアニスト・ハープ奏者のメラニー・レヴィーと結婚し、翌年娘アロイジア、1846年には息子アーサーを授かります。1846年には「Imperial Virtuoso」の称号を与えられ、ウィーン楽友協会でハープ教授としても後進の指導にあたりました。
しかし、1840年代後半に入るとヨーロッパの政情は不安定化し、特にウィーンではメッテルニヒ体制下の抑圧と、その後の1848年革命の勃発が彼のキャリアに暗い影を落とします。革命の混乱により楽友協会が閉鎖され給与が停止されるなど、深刻な財政難に陥りました。他の都市でも同様の状況だったため演奏旅行も不可能となり、多くの生徒が町を離れたこともあり、音楽家としての活動はほぼ停止状態となりました。
1848年10月、家族と共にウィーン郊外へ疎開しますが、健康状態が急激に悪化し、1849年1月25日に肺炎（ただし記録は曖昧）のため、40歳の若さでこの世を去りました。遺体はザンクト・マルクス墓地に埋葬され、残された妻子はロンドンへ帰国しました。
代表的な作品には、ハープのための協奏曲や、オペラの旋律に基づく幻想曲などが挙げられます。
主な作品の一部
ロッシーニの『エジプトのモーゼ』による大幻想曲 Op.58
ウェーバーの『オベロン』による幻想曲 Op.59
ハープと管弦楽のための大協奏曲 ハ長調 Op.60
Travel of a Harpist in the Orient Op.62
ピアノと管弦楽のための協奏曲 ト短調 Op.90
ハープと管弦楽のための協奏曲 変ホ長調 Op.98
パリッシュ・アルヴァーズは、当時のハープの演奏技法を飛躍的に発展させた革新者として、音楽史において重要な位置を占めています。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。