エラストマー

エラストマーとは

エラストマーは、粘弾性を持ち、相互作用の小さな分子間で構成される高分子材料を指します。これにより、エラストマーは他の材料に比べて小さいヤング率及び大きな破壊ひずみを持っています。この名前は、弾力性を持つ高分子（elastic polymer）を意味する言葉が融合したもので、ゴムとほぼ同義に用いられることが多いですが、加硫されたものについては「ゴム」と指定されることが主流です。

エラストマーの特性

エラストマーを構成するモノマーは主に炭素、水素、酸素、シリコンで構成されています。エラストマーは、ガラス転移温度以上の温度において非晶質の高分子として機能し、共有結合が断裂することなく、かなり大きな分子鎖の再配置が可能です。これにより、室温でもエラストマーは柔軟に変形する特性を持ちます。具体的には、ヤング率は約3MPa程度で、この柔軟性によりさまざまな用途に活用されています。

用途

エラストマーの一般的な用途には、封止材、接着剤、成形された柔軟な部品があります。タイヤ、靴のソール、振動を減衰させるための部品など多岐にわたって利用されており、その市場規模は2020年には560億米ドルに達すると予測されています。このように、エラストマーは私たちの日常生活のさまざまな場面で見かける重要な材料です。

エラストマーの種類

通常、エラストマーは熱硬化性ですが、熱可塑性なものも存在します。熱硬化性エラストマーは、加熱によって硬化が進み、特定の温度範囲内では軟化しない性質を持っています。これが一般的に「ゴム」と呼ばれるもので、加硫ゴム、天然ゴム、合成ゴム、樹脂系エラストマー、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが該当します。

一方、熱可塑性エラストマーは、加熱することで柔らかくなり、冷却すれば元のゴム状に戻る特性を持つ材料です。これにより、成型加工が迅速に行えるという利点がありますが、耐熱性に乏しいため、特定の用途には適していません。具体的には、ポリスチレン系（TPS）、オレフィン系（TPO）、ポリ塩化ビニル系（TPVC）、ポリウレタン系（TPU）、ポリエステル系（TPEEまたはTPC）、ポリアミド系（TPAE）などが挙げられます。

構造と弾性

エラストマーは「スパゲッティとミートボール」の比喩で説明されることがあります。この例えにおいて、スパゲッティは長い分子鎖を表し、ミートボールはその鎖をつなぐ架橋点に相当します。エラストマーは与えられた応力を分散するためにこれらの分子鎖が再配置することで弾性を示します。応力を取り除くと、分子鎖は元の配置に復帰します。この大きな柔軟性のおかげで、一般的なエラストマーは500%から700%程度の変形を繰り返すことができます。逆に、架橋点が不足している場合や短い場合、永久的な変形を招くこともあります。

結論

エラストマーはその特性から、様々な産業において重要な役割を果たしており、今後もその利用範囲は広がり続けると考えられます。これにより多くの製品に貢献しており、我々の生活に欠かせない素材となっています。

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