エリアで最初に開局した放送局の一覧 (日本)

この記事では、日本の各放送対象地域において、最初に放送を開始した民間放送局（いわゆる「エリア第1局」）について詳しく解説します。これらの放送局は、日本の放送史において独自の役割を果たしてきました。

エリア内で最初に誕生した民間放送局は、特にテレビジョン放送が多系統化する中で、極めて重要な存在でした。これらの局の多くは、放送開始当初はVHF帯の電波を使用していました。また、ラジオ放送とテレビ放送を兼営する「ラテ兼営」の形態をとることも少なくありませんでした。VHF帯はUHF帯に比べて広い範囲に電波が届きやすく、また最初に開局したという歴史的な経緯から、後発の放送局に比べてエリア内での受信機会や認知度が高く、結果として広告営業においても有利な立場を維持していました。

しかし、2011年までに完了した地上デジタル放送への移行は、このような「エリア第1局」が享受してきた優位性に大きな変化をもたらしました。デジタル放送では、それまでテレビ放送で使用されていたVHF帯とUHF帯がUHF帯に一本化されたため、VHF帯の広範囲への到達性という物理的な優位性が失われました。さらに、デジタル放送への移行に伴う設備投資コストの増加に加え、長引く不況やインターネットなどのマルチメディア普及による広告収入の減少が重なり、「エリア第1局」であることの持つ意味は、次第に薄れてきています。

本記事で扱う「エリア第1局」は、日本の放送におけるエリア分けの基準となっている基幹放送普及計画に基づく各放送対象地域ごとに掲載されます。一覧表を参照する際には、以下の凡例が用いられます。

●：その放送対象地域において、唯一存在する民間放送局を示します。

★：過去に存在したが、現在は廃局となった民間放送局を示します。

また、テレビ局の一覧においては、以下の補足情報が付記されることがあります。

■：AMラジオ放送も兼営している局（事実上の兼営を含む）を示します。

▼：AMステレオ放送を実施している局を示します。

ラジオ局の一覧においては、以下の補足情報が付記されることがあります。

☆：JRN（ジャパン・ラジオ・ネットワーク）とNRN（全国ラジオネットワーク）の両方の全国ネットワークに加盟している局を示します。

▼：AMステレオ放送を実施している局を示します。

沖縄県における「エリア第1局」については、特別な考慮が必要です。NHK沖縄放送局の前身であり、アメリカ施政権下に設立されたOHK沖縄協会（沖縄放送協会）の開局日が基準として扱われます。これは、沖縄県の放送史が日本本土とは異なる特殊な経緯をたどったためです。

「エリア第1局」に関する情報は、日本の放送システム全体と深く関連しています。様々な放送ネットワーク（JNN、NNN、FNN、ANN、TXN、JRN、NRNなど主要なもの）への加盟、ラジオとテレビを兼営するラテ兼営の形態、地上デジタル放送やAMステレオ放送といった技術的側面などが挙げられます。また、「歌のない歌謡曲」や「キユーピー3分クッキング」といった一部の長寿番組は、多くの場合、その地区の先発局が属する系列を通じて放送されており、先発局との関連が深いケースが見られます。

各地域で最初に放送を開始した民間放送局は、かつて技術的・経営的な優位性を持ち、地域放送の基盤を築きました。デジタル化や市場変化によりその立場は変わりましたが、日本の放送史における先駆者としての意義は失われていません。

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