エリコンKCB 30 mm 機関砲

エリコンKCB 30 mm機関砲の概要

エリコンKCB 30 mm機関砲（英: Oerlikon KCB 30 mm autocannon）は、スイスのエリコン社が製造した30mm口径の機関砲です。この兵器は、元々イスパノ・スイザ社によってHS.831という名称で開発され、エリコン社がその銃器部門を買収した際にKCBと改称されました。

開発の背景

この機関砲の起源は1939年に遡り、イスパノ・スイザ社のフランス支社において開発が始まりました。当初はHS.411というモデルが存在し、同社の既存のHS.404の自動機構を基にして大口径化が目指されました。このモデルは25mm機関砲弾を改良し、全長を長くした30×170mm弾を使用します。しかし、ナチス・ドイツのフランス侵攻によって開発は遅れ、その後スイスやイギリスの関連企業に技術が持ち込まれました。

BMARC社は1942年までに試作を行いましたが、既存の20mmおよび40mm口径機関砲で需要を満たしていたため採用されませんでした。しかし、HSS社は開発を継続し、1945年にはHS.830が市場に投入され、その後1950年代初頭に小改正型のHS.831が販売されました。1971年、エリコン社による買収でHS.831はKCBに改名されました。

設計と機構

この機関砲の設計は、HS.404と同様にブローバック式でガス圧式を併用した自動機構を採用しています。撃発方式はオープンボルト方式であり、反動は14kN、後座長は50mmです。砲身は単肉構造で、18条の右回りライフリングが形成されています。

送弾機構について、HS.830では保弾板やドラム型弾倉が使用されましたが、KCBではベルト式が採用され、KCB-B02は左側から、KCB-B03は右側から給弾されます。

実装に関する詳細

陸上型

KCBは陸上型としても実装され、HS.831を使用した単装牽引砲架のHS.661が製造されました。また、自走式の対空砲としてAMX-13軽戦車を改造したDefense Contre Avions（DCA）が1960年に採用されました。この初期のモデルはレーダーを必要としない設計でしたが、1968年以降にレーダーを備えたモデルも導入されました。

艦載型

BMARC社は1966年からHS.831の艦載型の開発に取り組み、1968年には連装マウントを発表しました。1971年に市場に投入されたA32は、後に砲がKCBに改称されると、GCM-A01およびGCM-A02に改名されました。GCM-A01はイギリス海軍の駆逐艦「ブリストル」に搭載され、GCM-A02はケニア海軍の哨戒艇「マンバ」に搭載されました。

1984年には改良型のGCM-A03が発表され、既存のマウントも改修されました。また、LSE社（後のMSI社）では1970年代後半から艦載用の単装マウントを開発し、1980年代には本砲を使用したDS-30Bが導入されました。フォークランド紛争後、イギリス海軍は中口径機関砲の強化を進め、DS-30Bも1988年以降に装備が開始されました。

さらに、アメリカ合衆国でも1972年にエマソン・エレクトリック社が連装マウントのプロトタイプを完成させ、アメリカ海軍向けにEX-74として知られるモデルが考案されましたが、1975年には予算の問題で海軍の要求が取り下げられました。それでも、エマーレック-30として市場に出回ることになりました。

まとめ

エリコンKCB 30 mm機関砲は、その設計の歴史や展開から多くのバリエーションを持つ兵器です。陸上型や艦載型としての多用途性に加え、改良が重ねられてきた結果、依然として多くの国で使用されています。

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