エリック・レイモンド

エリック・スティーブン・レイモンド（Eric Steven Raymond、1957年12月4日生まれ）は、アメリカ合衆国の著名なプログラマーであり、作家です。彼は、オープンソースソフトウェア運動の強力な支持者として、また、そのスポークスマン的な役割を担っていることで広く知られています。彼の名前の頭文字を取った「ESR」という略称でも親しまれています。

経歴と主な活動

レイモンドは、特にオープンソースソフトウェア開発の分析と提唱において重要な貢献をしています。彼の最も有名な著作の一つである『伽藍とバザール』は、GNU/Linux|GNU_Linuxの開発手法を詳細に分析し、ソフトウェア開発における「バザール方式」という分散型モデルを提唱しました。この著書は、オープンソースコミュニティの形成と発展に大きな影響を与え、多くの開発者にインスピレーションを与えました。

また、レイモンドは『ジャーゴンファイル』、特にその書籍版である『ハッカーズ大辞典』のメンテナとしても知られています。この辞典は、ハッカー文化における専門用語や隠語を網羅したもので、IT業界だけでなく、広く一般の読者にも興味深い内容を提供しています。彼は、この辞典の版を重ねるごとに内容を更新し、ハッカー文化の変遷を記録し続けています。

レイモンド自身も、オープンソースソフトウェア開発に積極的に関わっており、fetchmail（旧名popclient）の開発者の一人です。このソフトウェアは、電子メールをサーバーからダウンロードする際に使用されるツールであり、多くのユーザーにとって不可欠な存在です。レイモンドが提唱したバザール方式という言葉は、彼自身が作ったものであり、分散型開発手法の代名詞となっています。

さらに、レイモンドは、Netscapeのソースコード公開とmozilla.orgの設立にも大きな影響を与えたとされています。これらの活動は、オープンソースソフトウェアの普及を加速させ、ソフトウェア開発のあり方に大きな変革をもたらしました。

レイモンドの関心は、コンピュータ技術にとどまらず、SFとそのファンコミュニティにも及んでいます。また、政治的にはリバタリアニズムの立場を強く支持しており、銃規制に反対するなど、自身の政治的な見解を公然と表明しています。近年では、自身のブログを通じて政治的な発言を積極的に行っています。特に、9.11同時多発テロ発生時には、ブッシュ政権によるアフガニスタン侵攻を支持する文章をブログに掲載し、議論を呼びました。

著書

レイモンドは、多数の著書を執筆しており、その多くがオープンソースソフトウェアやハッカー文化に関するものです。以下は、彼の主な著書の一部です。

『ハッカーズ大辞典』(The new Hacker's dictionary)：ハッカー文化における専門用語を網羅した辞典。長年にわたり改訂され、ハッカー文化の変遷を記録している。
『伽藍とバザール　オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト』：オープンソース開発のモデルを提示し、バザール方式を提唱した著作。
『入門GNU Emacs』：GNU Emacsエディターの入門書。
『The art of UNIX programming』：UNIXプログラミングの哲学と実践に関する著書。

その他の活動と関連情報

レイモンドは、ハロウィーン文書やRevolution OSといった、オープンソースソフトウェアに関連する重要な出来事や作品にも関わっています。彼の公式ウェブサイトやブログでは、彼の最新の活動や見解を知ることができます。

Eric S. Raymond's Home Page - ESRの公式サイト
Armed and Dangerous - ESRのブログ
YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page - ESRのリソースの日本語訳が多く置かれている山形浩生のページ
ESR appears in "Revolution OS"(VHS/DVD)
imdb filmography - インターネット・ムービー・データベース
レイモンド エリック：作家別作品リスト - 青空文庫
* エリック・レイモンドの作品 （インターフェイスは英語）- プロジェクト・グーテンベルク

エリック・レイモンドは、プログラミング、執筆活動、政治的活動を通じて、様々な分野に影響を与えている人物です。彼の活動は、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続けるでしょう。

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